岩波ジュニア新書<br> 森と山と川でたどるドイツ史

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岩波ジュニア新書
森と山と川でたどるドイツ史

  • 著者名:池上俊一
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • 岩波書店(2022/09発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005008179

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内容説明

豊かな森,南にそびえるアルプス山脈,縦横に流れる豊かな河川――その自然を抜きにして,ドイツという国は語れません.環境先進国,音楽の国として花開いた独特の自然観は,じつは苛烈な魔女狩りやナチスによるユダヤ人迫害とも無縁ではないのです.ドイツの歩んできた光と影の歴史を,自然との関わりを切り口にたどってみましょう.(カラー4ページ)

目次

はじめに
第1章 ゲルマンの森とその支配
地勢と気候/ゲルマン人の侵入とローマ帝国の滅亡/フランク王国の建国と分裂/神聖ローマ帝国誕生/ゲルマンの森とその神話/神聖なる菩提樹/王の森から領主の森へ/森の恵み,ハム・ソーセージ/狩猟文化とその継続/地中海から内陸河川へ
第2章 山と川に拠る生活
聖職叙任権闘争の背景/領邦分立の時代へ/中世農民の状況/東方植民はなぜ必要だったのか/山の城に割拠する領主たち/川沿いの都市建設/ハンザ同盟と海をめぐる都市/アルプスと峠道/森の化身としての野人/ふしぎな力をもつ修道女
第3章 宗教改革と自然の魔力
ルターと宗教闘争/領邦教会の誕生/ドイツ農民戦争と自然/ブロッケン山の伝説/魔女迫害の真相/なぜドイツは魔女が多かったのか/王宮がおかれた鉱山町ゴスラー/フッガー家と鉱山開発/各地に散らばる鉱山町/塩が支えた都市の発展/自然学と錬金術/グラウバーの『ドイツの繁栄』
第4章 ハプスブルク帝国からドイツ帝国へ
三十年戦争とその結果/プロイセン対オーストリア/領邦の中の都市/啓蒙専制君主フリードリヒ二世とジャガイモ/ドイツ啓蒙主義の評価/公共の場の出現と家庭での感情生活/領主を利する農業改革/森の荒廃と復元
第5章 産業発展と山の賜物
実を結ばない社会改革/ナポレオンが喚起した愛国心/プロイセンによる統一へ/山の湯治場/温泉好きのゲーテ/登山の時代/鉄工業が牽引する経済/ルール地方の重工業の発展/現在に続く「メイド・イン・ジャーマニー」/すたれない河川輸送/父なるライン川/ドナウ川とエルベ川/河川にみる自然の改変/自然をあがめるドイツ・ロマン主義文学/山岳絵画と有機体思想
第6章 自然崇拝の明暗
ビスマルク退場からヴィルヘルム二世の親政へ/第一次世界大戦の勃発とワイマール体制/ヒトラーと第二次世界大戦/ワンダーフォーゲルにはまる若者たち/トゥルネン運動/すばらしき林業/森林の保全とエコシステム/無意識という地層/「音楽の国ドイツ」の神話/「清潔なる帝国」/ナチと自然保護/クラインガルテン運動
第7章 経済大国からエコ大国へ
ヨーロッパの中のドイツ/ドイツ再統一へ/過去の克服はできたのか/遅れてきた国民/遅れの創造性/自然との深い関わり/政治と結びつく危険性/上へ上へ/秩序の追求/環境先進国へ
あとがき(参考文献)
ドイツ史年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

123
高校生用の本なのですが、私が読んでもかなりためになった気がします。ドイツを森と山と川の観点から歴史をたどっています。著者はイタリア史とフランス史を食べものの観点から同じシリーズで出されていますが、ドイツはビールとソーセージだけでは語れないと感じたのでしょう。やはり自然豊かな国だからだと思います。このような自然と気候が哲学や思索を生んだのでしょう。2016/05/04

sasara

21
ドイツ統一は小国乱立と宗教対立などで1871年明治4年と日本より遅れる。ライン川、ドナウ川、エルベ川とアルプスなどの山々と深い森はゲルマン的神秘な物語、哲学、音楽を育むも産業革命時には森林伐採により自然破壊後ナチ時代は意外にも自然保護エコを推進そして戦後は環境先進国のリーダーへ。なぜ民族主義的に一時期なったのかが少しだけわかったようないろんな角度から観る歴史はなかなかに面白い。2021/09/18

aisu

20
ドイツの歴史をこの一冊で通してまとめた感じ。森、山、川を通して、思想の根っこや、産業、文化に触れつつ。ドイツ統一は難問だった。2015発行なのでシリア難民受け入れまで書かれているが、ユーロ問題含めて今後はどうなるのか…2016/07/09

coolflat

17
12頁。オットー1世はしばしば国王に反抗的な態度をとる部族勢力を掣肘するべく教会と手を結ぶ事にして、司教たちを優遇し、世俗の権限と役職をも任せた。聖職者は独身だったので、相続を巡る争いを避けられるというメリットもあった。読み書きのできる聖職者は行政能力が高く、オットーは彼らを全国的に国王官僚化した。その上で、教会や修道院を王の財産・領地とみなした。この体制は「帝国教会政策」と名付けられた。ドイツの皇帝は血縁による世襲ではなく、「選挙」で決められるのが原則だった。これは王国の不安定要素として絶えずつきまとう2022/12/07

yoneyama

14
タイトルの通り、森林で生まれた思想、森林資産で栄え、滅ぼした歴史、川を使って産業が勃興し、ローマ帝国との境界や地域性も川を軸に述べられる。登山愛好家としては案外気が付かなかったアルプス登山黎明期18〜19世紀に英国人ばかりだったがその後ドイツ人がノーガイドで登り始めた話など(p129)。地政学というのだろうか。お国柄が天然地形の配置で決まる、人類が、ドイツが、その天然の恩恵と加工で発展してきたいきさつを読みたかったので満足です。ロマン主義もワンダーフォーゲル運動もナチズムも、この視点からの解説が面白いです2021/07/05

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