内容説明
壮絶人生から見る社会。寄稿すればバズる。20代論客、初のエッセイ。
“まだ子どもだった頃、私にとって育った村は逃げられない檻だった。絶え間のない暴力と、際限のない貧困を閉じ込める檻
隣で楽しそうに笑っている子、じつは困っているのに、言えないだけかもしれない――家賃を払い、学費を払い、病気になれば治療費を払う。安心できる居場所がある。そんな当たり前の日常を送る者の視界からは、こぼれ落ちる人たちがいる。しかし、そうした存在は意外と目に付かない。生まれながらに持たざる者は、経験が限定され、将来の選択肢を失いがちだ。たとえば、
◎高校の制服が買えない
◎お金がかかるから部活に入れない
◎中古1円の参考書で受験勉強
◎大学ではひとり、紙の辞書
◎レポートを書くPCが買えない
◎夏の底辺シェアハウスはベランダで寝る
◎友人からのプレゼントにプレッシャーを感じる
◎医療費が不安で自主退院
◎コロナ禍でも外で働かざるを得ない etc.
あの子はほんとに、なまけもの? 貧困は自己責任なのか? 塾も習いごともあきらめて、独学で国公立大学に進学した著者は言う。「それでもまだ、スタート地点に立てたわけではなかった」と。みなが自分の“強者性を自覚する。そして、今より5ミリずつ思いやりの手を伸ばす。その総和が社会を優しく、生きやすくするのではないか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
52
借り本。当人に自覚があろうがなかろうが、一人ひとりの人生はドラマティックなものである。それは時に過酷なものである。著者の置かれた環境は、私にとっても馴染みのあるものではあるが、だからと言ってそれを当たり前とは捉えることはない。強者の置かれた立場を前提に話を進めることのない社会になって欲しいと切に願う。★★★★☆2022/10/03
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
26
言われてみれば貧困の様子とは誰かがまとめたものを読むばかりで、当事者からのそれは少ないような。それはつまり、貧困沼に足を突っ込んでいるとテキストに表しそれが衆目される場に出す機会も少ないということなのだろう。すでに売れっ子ライターの気配の作者だけど、ネット上に何本かの連載を持つだけでは生活は十分ではないというのも言われてみて初めて気づくこと。昭和の高度成長期に作られた標準家庭のイメージ、その時点でそこに含まれない世帯も多かっただろうに、不可視化されてしまったのだろうな。2023/01/04
じん
19
人は環境のなかで生きてる。中学のイジメ、高校は進学校で良い人が多く、大学はいうても楽しく、社会人になって苦労して、東京は家賃が高すぎる。程度の差はあれみんなそんなかんじ。たしかに、低所得者への自己責任論が多いし、安易に受け入れやすいところはある。※いろいろな要因が重なって゛たまたま゛乗り越えられたかもしれない困難をすべて自分の努力に帰するのは、あまりに強引だと思う。「努力は報われる」「夢は叶う」それは゛その人の場合、努力が報われて夢が叶った゛というだけであって、一般化できるものでは決してない。p242※2025/08/10
しまちゃん
15
推しがファンクラブ会報で紹介していたので読んでみました。日本にこんな貧困な若者がいることに衝撃を受けます。服や下着が買えない、友達とランチも行けない、家が暑い寒い等々。ヒオカさんはこんな苦しい状況の中でも勉強に励み、凄まじい努力をされた事に頭が下がります。この本が色んな方の目に留まり、この本が色んな方の支援に繋がりますように。2023/09/10
ビーグル犬大吉
14
人間生まれた時点で、その後の人生がほぼ決まってしまう。アドバンテージは最後まで人を苦しめる。私は中・高時代はスクールカースト最下位で、常にいじめの対象だった。それがトラウマになり、大人になっても人間不信になった。負の連鎖は絶対ある。大学を卒業後、資格を取得しコンサルタント会社に転職したものの、上司のパワハラや同僚の暴行など因縁や言い掛かりをつけられ馘首された。以降、フリーランスを続けている。「居場所で考えた14の断片」は共感した。すべての世代に読んでもらいたい良書。ヒオカさんの今後の活躍を祈念しています。2024/06/08
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