内容説明
実在した満洲の馬賊王・小日向白朗。桁外れの冒険劇!
渡り合う馬賊同士の決闘、凄惨を極める復讐戦の大虐殺。大草原を移動する狼狗の群れ、儚い恋のロマンス……。戦乱の中国大陸を舞台に展開する大馬賊の“栄光と悲惨。任侠精神を貫き「捕虜」から中国全土の「正統馬賊総頭目」にまで上り詰めた日本人馬賊の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
72
実在した満州の馬賊王・小日向白朗を描く長編小説。冒険小説的な内容を期待したが、ちょっと違った。冒険小説的な要素もあるのだけれど、そちらには焦点を合わせていない。そのぶん、評伝としての中身の濃さは抜群。国籍にとらわれず民衆のために行動し、中国社会の顔役的存在になっていく様は痛快。様々な実在の人物が入り乱れ、時代が激動していく中、白朗は腐敗官吏や日本軍と戦う。義を重んじ、姑息で卑怯な者を嫌う白朗の生き方は、読んでいて背筋が伸びる思いがした。読み終わると自分が小日向白朗になって、動乱の時代を駆け抜けた気がする。2022/09/07