ちくま新書<br> 絶望に寄りそう聖書の言葉

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ちくま新書
絶望に寄りそう聖書の言葉

  • 著者名:小友聡【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/09発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075055

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内容説明

約2000年前に書かれたユダヤ・キリスト教の聖書には、現代に生きる私たちと同じように人生の絶望と苦闘した人々の物語が詰まっている。働くことの空しさを嘆くコヘレト、不条理な災難に次々と遭うヨブ、夢を叶えられないモーセ、運命から逃げるヨナ、師を裏切ってしまうペトロ、自らの死を予感するイエス……、旧約聖書を専門とし、牧師としても聖書の魅力を伝える著者が、登場人物たちの七転八倒から、現代の読者に生きる力を与えるメッセージを読み解き紹介する。

目次

はじめに
I 孤独に立ちすくんだとき
1 イスラエルの祖ヤコブ──決してあなたを見捨てない
2 預言者エリヤの挫折──弱音を吐きたくなったら
3 いじめられたヨブ──不条理を背負って生きる
4 絶望を希望にかえた預言者エゼキエル──最愛の家族を喪ったとき
5 神に見捨てられた詩編詩人──絶望から発する叫びこそが祈りである
6 一番弟子ペトロ──挫折を抱きしめて
II 働くことに疲れたら
1 コヘレトの空しさ──働く意味が感じられなくなったとき
2 安息日とは何か──働くことから距離を置く
3 苦悩の預言者エレミヤ──報われないときこそ前向きに
4 歴史を見通した預言者イザヤ──人々を鼓舞する言葉
5 使徒パウロの黙示思想──目に見えないものこそが希望である
6 天の国の喩え──敗者に寄りそう眼差し
III 妬みの気持ちに向き合うために
1 カインとアベル──嫉妬の気持ちから目を背けない
2 嫉妬に狂ったサウル王──プライドをかなぐり捨てて生きよ
3 人生の短さを見つめたコヘレト──束の間だからこそ全力で生きる
4 生きるよすがとなる箴言──今あるもので満足する生き方
5 イスラエル民族の象徴ヨナ──「自分だけ」を乗り越える
6 不正を行った管理人──大切なのは富ではなく友
IV 家族の大切さを忘れかけたとき
1 兄たちを赦したヨセフ──憎しみから赦しへ
2 女たちに守られたモーセ──家族から与えられた命
3 ナオミの悲嘆に寄りそう外国人ルツ──家族を失っても一人ぼっちじゃない
4 息子を死なせた「神の人」ダビデ──家族同士の諍いの果てに
5 妻を探した預言者ホセア──裏切られても愛することをやめない
6 母を弟子に委ねたイエス──血縁を超えた家族へ
V 死を受け入れるために
1 約束の地に入れなかったモーセ──夢を人に託す幸せ
2 神を呪ったヨブ──問うのではなく不条理に答える
3 死の現実と向き合うコヘレト──空しいからこそ生き抜く
4 守られ鞭打たれたイスラエル──葬儀で最も読まれる詩編
5 パウロの壮絶な宣教人生──生と死の狭間で生きる
6 イエスのゲツセマネの祈り──死にゆく時もただそばにいて
あとがき
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

105
孤独/労働/妬み/家族/死という現代社会が抱える課題を、聖書の言葉で読み解く一冊。小友先生といえば「コヘレトの言葉」。ヨブ記やコヘレトの言葉さえも前向きに捉える先生の聖書解釈は、「生きよ」というメッセージに溢れている。エレミアが田中正造、不正な管理人の喩え話(ルカ)が杉原千畝という連想も面白い。ソロモンの箴言やヨナ記や天の国の喩え話(マタイ)を通じて、貪欲と嫉妬心に塗れた資本主義経済にも警鐘を鳴らす。ただ、聖書の引用が2018年の聖書協会共同訳で、慣れ親しんだ聖句と微妙に異なり、しっくりこないのが玉に瑕。2022/12/04

Tatsuhito Matsuzaki

15
私の記憶が確かなら、キリスト教系の幼稚園に3年間プラス小学校から中学1年のクリスマスまで、教会に通っていて、新約聖書と旧約聖書を持っていました。 本書では聖書の言葉を引用して、絶望に苦しむ人に寄り添う書物であると解いています。 10年以上の教会通いの果てに、今では正月に神社に初詣をして、お彼岸&お盆にお寺にお参りし、クリスマスイブには聖夜を祝して乾杯する…そんな人生を歩んでいます。アーメン🤲2022/12/04

クマシカ

13
大人になるまで教会に通って育ったので旧約も新約も有名な聖句は大体知っている。旧約の一部は文学としてフィクションで書かれていて、イスラエル民族の歴史を記したもの。聖書は旧約も新約も、神から与えられた命をどんなに辛く苦しくとも生きよ、教えている。パウロのように過去のことより前を見て進もう、と。人生の数々の不条理を越えて、人間は強くなれるのだろうか。時代的にメンタルヘルスなんて概念がないのかもしれないが、辛く苦しいときには聖書の格言、いわば正論、が追い打ちをかけてくる。ヨブのようにはなれないなぁ。2025/06/15

どら猫さとっち

9
人生に絶望したとき、何に救いを求めるか。どの言葉に光を見い出すか。本書は孤独、仕事、嫉妬、家族、そして死をキーワードに、聖書に登場する聖人や国王などの苦難と悲しみの生涯から、生きるヒントを紐解く聖書の入門書。数々のエピソードから、生きることの尊さや絶望を超えた真実を教えてくれる。聖書は堅苦しくキリスト教じゃないという人も、一度手に取ったら、どんな苦難や悲惨なときでも、その言葉が心に響くことだろう。2022/12/27

あんさん

9
主に不条理さを背景にした聖書の言葉を紹介し、牧師である著者が「生きよ」という主題で解説する本。よく知る言葉もあれば、新たな発見を得た言葉もあった。「神を呪ったヨブ」の項、獄中、神の沈黙という現実の中でのボンヘッファーの言葉が頭に残る。「神は自身をこの世から十字架へと追いやられるにまかせる。神はこの世においては無力で弱い。そしてまさにそのようにして、ただそのようにしてのみ、神はわれわれのもとにおり、またわれわれを助けるのである」2022/11/17

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