内容説明
就職活動に失敗し心が折れた24歳の小夜子は、偶然見知らぬ誰かの通夜に参列することに。会場には香の匂いが漂い、お経、木魚のリズムやすすり泣く声が響き、悲しみが溢れていた。世の中、辛いのは私だけじゃない。その日から通夜通いにのめり込んでいく小夜子だったが、奇妙な老婆との出会いがきっかけで人生に目的ができた。通夜を渡り歩き遺族を慰める「通夜女」。彼女に弟子入りしたい!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイマックス
77
就職活動に失敗してひきこもり状態の主人公小夜子の物語。七才の時にトキばあが亡くなる話しや、弟の結婚式の話しもあるが軸は、見ず知らずの人の葬儀に参列する楽しみを見つけたことによる物語。通夜女と称するばあさんに出会い、葬儀にケーキを提供したいと営業する青年と出会ったり、葬儀を盛大にしたい人への人材派遣会社を立ち上げた女社長と出会ったり、ネグレクトを疑う少年と出会ったりと、14の小題に分けた面白い作品に仕上がっている。2026/05/30
itica
73
就活で躓き、引きこもっていた小夜子が、ひょんなことから見知らぬ人の通夜に参列して心の救いを感じてしまい、やがて通夜通いの老女と知り合う。私には理解しがたい行動であるが、死が生の裏返しであるならば、小夜子は生きている実感が欲しかったのかなと勝手に思ったりする。ふうん、と言う感じで読んでいたが、普段は泰然としている母親が取り乱したところにはグッと来た。 2026/07/04
えみ
64
不謹慎で無思慮で軽薄で非情。誰かの不幸で癒されて幸せを感じ、誰かの死で生きる気力を取り戻す。まさかそんな悪趣味に夢中になる女がいるなんて!想像の遥か先を行った展開にうすら寒いものを感じてしまった。自分の身に関わりない「死」は、関係ある「死」とは一枚壁を挟んだ向こう側の悲しみであって、その実感は遠い。だからそんな振舞いができるのだろう。葬儀場を渡り歩き、亡くなった方の関係者として偽り目立たず静かに現れ、誰にも疑われることなく自然に姿を消す。それが通夜女だ。行き詰った人生の再出発に通夜通いを始める奇天烈物語。2022/09/11
しょこ
25
他人の通夜に潜り込む通夜女。お香の匂いとお経の声に興奮し、通夜通いをもはや趣味とする小夜子がシュール!なんとも理解し難いけれど、折り紙への姿勢(創作するよりも、正しく折って目的の形にする作業が好きなところ)や"わたしにしかできないことでなくていい、(中略)誰にでもできることのひとつをわたしができた、それでいい。"そんな考え方は共感できた。ひきこもりから通夜通い…そんな娘を責めず問わず静かに温かく見守っていた母親がとても素敵で印象に残った(*´꒳`*)2022/10/06
Karl Heintz Schneider
18
「通夜、これほど居心地の良い場所があるだろうか」就活で連敗続きで心が折れた24歳の小夜子。ある日黒のリクルートスーツを喪服と間違えられ見知らぬ人の通夜に参列することに。「通夜の席では幸せを見せびらかしてはいけない。良いことは封じ込め遺族の悲しみに思いを馳せ悲壮な面持ちでいなければならない。不幸が尊重される世界である。」終活疲れの彼女にとって通夜は心地よい空間だった。すっかり通夜の独特の空気感に魅せられた小夜子はその後も赤の他人の通夜にこっそり忍び込んでは悲しみに包まれた空気に身を置く喜びをかみしめていた。2023/01/20




