内容説明
首里城、筑波山、ウラジオストク、モンゴルの草原……
何のために旅に出て、何を思い、何を目指すのか。SF作家の目を通して楽しむ新感覚旅行記。
2019~2021年note投稿作品を大幅に加筆・修正した海外編4柞&国内編8柞、さらに[架空旅行記]として書き下ろし短編小説2作(月面編/日本領南樺太編)を加えた。
──だいたい僕はどこへ行っても似たようなことをして、似たようなことを考えている。そこには環境によらない恒常的な自己同一性みたいなものがうっすらと見えてくる。(あとがき より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tonnura007
63
SF作家による海外(4つ)&国内(8つ)旅行記。 「はじめに」で惹きつけられてしまった。「ただ駅のホームをなんとなく歩きたくなる人のためのエッセイである」という時点で普通ではない。著者特有の視点と思考回路が巧く描かれる唯一無二の旅行記である。 本作は海外と国内の旅行記とあるが、最も感動したのは架空の月面と南樺太。これぞSF作家による旅行記の真骨頂。宇宙に行ったことがある人などに取材をして情報を得るのだろうか。南樺太のJR樺太本線や国境駅のみどりの窓口はシュールだし、月面のお土産物のオチには思わず捧腹絶倒。2024/09/09
なっぱaaua
63
「横浜駅SF」や短編集でお馴染みのSF作家柞刈湯葉氏の旅行記。この人の文体は馴染むので自分には合っていると思っている。旅行記ですが何か為になるかといえばそうでもなく、感性を教えてもらい無駄知識の様なものだけが残りますが、それで良いのだ旅なんて。特にイトマンスイミングスクールは糸満市と関係があるって自分も思ってたので「伊藤萬」だったのは結構驚いた。どうでも良い話だが。大人の青春18きっぷの使い方は成程と思ったが、その使ったルートはどうだろうか。~続く~2022/10/11
はっせー
51
「本書を持ち、旅に出よう」本書はSF作家の柞刈湯葉さんが実際に訪れた場所+架空の場所に行った設定で書いた話で構成されるエッセイである。今まで読んだ旅エッセイの中で一番面白かった😳ずっと笑ってしまった😂なぜなら私の肌感覚で1~2ページに1回秀逸な例えやボケを挟んでくるから!なんで伏線を張った上でそれを回収するようなオチを作るんだよ。うまくて他のエッセイ読めなくなっちゃうよと思ってしまうほど良かった。特にカナダモントリオールでの話は秀逸。恩田陸さんの話をあんな風に使うとは。天才としか言いようがない😆2025/08/04
路地
49
軽妙で緩い紀行文ながら、架空の地への旅になった途端に饒舌になるところがSF作家ならではという感じで楽しい。ノリツッコミに柞刈さんの頭の良さが垣間見える。2023/04/07
kei-zu
30
SF作家の旅行譚。訪れるのは、石川県、滋賀県などの国内から、上海、カナダ、モンゴルまで。ただ、本書を特殊なものにしているのは、月面までの宇宙旅行と南樺太の日露国境の探訪。それまでと変わらない筆致が「見てきたような嘘」で楽しい。2025/02/13