内容説明
子供に親は選べない、どんな環境に生まれるかは運任せだ。最近話題になっている「親ガチャ」という言葉があらわすのは、遺伝と環境要因がすべてを決めるので、努力することに意味はないと言った若者の諦念である。
確かに遺伝が、あらゆる要素に影響するのは事実である。しかし、遺伝科学についての最新の知見は常に更新されている。専門家ではない人間が過去の研究結果を軸に、あたかもそれが唯一の真理のように語るのは非常に危険である。
本書では、行動遺伝学の専門家が、一般読者の遺伝についての素朴な疑問に答えるとともに、遺伝における不平等を前提にしたうえで、「いかに自分らしく生きていくか」、「幸福に生きるのか」。そのための方法を論じていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kan
35
タイトルに期待しすぎた。要するに遺伝と環境が9割、だから人と比べずに自分の内なる声に耳を傾け、好きなことを見つけましょうという話。教育現場で働く者としては、非認知能力は変えられないとするところに衝撃を受けた。非認知能力は「能力」ではなくパーソナリティであり、訓練で変化させられないと本書にはあるが、レジリエンスやgrit、共感性などは思春期に疑似社会である学校での仲間との経験で育まれ、自己の核となる自信を裏付ける経験と記憶として残ると信じて現場に立っている。教育効果がないのならば楽というか残念というか…。2023/06/04
香菜子(かなこ・Kanako)
23
生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋。安藤寿康先生の著書。政治の世界では二世政治家や三世政治家が圧倒的に有利という研究者の研究を見たことがあります。それはきっと政治の世界だけではなくてどの世界でも同じこと。遺伝と環境による不平等な現実を嘆いたり敵視しても何も始まらない。遺伝と環境を簡単に変えることはできないから。遺伝と環境による不平等な現実を受け入れてその中でできることをすること。2022/12/16
チャー
22
本書は教育心理学、行動遺伝学を専門とする著者が個人の能力の差異や発現の仕組みなどについて解説している。様々な研究成果も引用されておりなるほどと感じる部分も多い。才能は遺伝するといわれるが、そもそも生まれるためには両親の遺伝子がもとになっており、その組み合わせで良いところも悪いところも少しづつ引き継ぎ、それにより脳の仕組みや身体能力などに得手不得手が生じるという仕組みは確かにと感じた。能力の良し悪しは社会が求める状況によって決まる側面もあり、育つ環境の影響もあるが生かせる環境との出会いも大切であると感じた。2023/06/01
まゆまゆ
16
人間の能力のほとんどは遺伝と環境によって決まることを行動遺伝学の観点から語る内容。能力は何らかの一定の行動を社会が評価したときに現れるもの。どういう能力が発現するかは遺伝的素質によるところが大きい。無数の小さな好きがネットワークによって繋がった結果が集中であり、能力ではなく結果に過ぎない。2023/03/14
Satoshi
16
橘玲の著作に始まり、最近ブームな行動遺伝学の専門家による著作。Q&A方式で進むが、前半はいまいち共感できなかったが、後半の超知識社会についての見解とAIのできない隙間仕事についての記載は同意できる。2022/11/14
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