神智学とアジア - 西からきた〈東洋〉

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神智学とアジア - 西からきた〈東洋〉

  • 著者名:吉永進一/岡本佳子
  • 価格 ¥4,180(本体¥3,800)
  • 青弓社(2022/08発売)
  • ポイント 38pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787220950

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内容説明

神智学運動は、オカルティズムからニューエイジ、現代のスピリチュアリティへと続く霊的な思想の要所にありながら、宗教だけでなく、19世紀末から20世紀の政治や社会などに様々な影響を及ぼした。欧米で誕生した神智学は、どのようにアジアに広まり、受容され、それぞれの社会にインパクトを与えたのか。

創立者であるヘレナ・P・ブラヴァツキーの思想や活動を押さえながら、神智学協会の性格やその変容、ヨーロッパでの展開、植民地との関係を明らかにする。そして、南アジアのナショナリズムとの結節、近代中国での展開、日本仏教との関わりなど、アジアでの受容の実態を掘り起こす。

アジアの宗教にも影響を与え、東西にまたがる活動をおこなった神智学の越境性と分野横断的な営為、人的な交流を、近代の帝国主義、グローバリズム、メディアの発達なども踏まえて多角的に検証する。神智学運動をテーマにした日本初の論集。

目次

まえがき 吉永進一

第1部 勃興

第1章 神智学略史――人と思想と組織 吉永進一
 1 H・P・ブラヴァツキーの生涯
 2 ブラヴァツキーの思想と新しい秘教思想

第2章 二つの神智学協会――寿命を延ばすこと、条件つきの不死、個体化された不死のモナド ジョン・パトリック・デヴニー[田中千惠子訳]

第3章 弟子(ルビ:チェラ)の肉体――十九世紀末アイルランドの神智学運動をめぐって 赤井敏夫
 1 ダブリン・ロッジの成立とチャールズ・ジョンストンの軌跡
 2 D・N・ダンロップと二人の導師(ルビ:グル)
 3 弟子(ルビ:チェラ)の条件
 4 帝国突端のハブとしてのダブリン、そしてささやかな挿話

コラム バルト海からの仏教徒――カール・トゥニッソンと神智学(一九一一―一六年) 井上岳彦

第2部 接触

第4章 南アジアのスピリチュアルなナショナリズム 杉本良男
 1 発見された神秘思想
 2 国民会議派
 3 タミル・ナショナリズム
 4 スリランカ仏教と神智学協会
 5 アナガーリカ・ダルマパーラの仏教ナショナリズム

第5章 近代中国の神智学運動 莊千慧
 1 神智学と近代中国の仏教復興運動との関わり
 2 中国の神智学支部と伍廷芳
 3 神智学協会の中国での活動

第6章 ウィリアム・スタージス・ビゲロウと神智学――近代オカルティズムが生んだアメリカ人仏教徒 岡本佳子
 1 神智学と明治日本の欧米人仏教徒あるいは仏教の共鳴者たち
 2 ビゲロウに見るオカルティズムと仏教
 3 宗教経験の希求――日米間を往復するアメリカ人仏教徒として
 4 万教帰一的宗教観への疑問

第7章 アメリカで秘教思想に出会った日本人たち 堀 まどか
 1 カリフォルニアの初期の神秘主義者たち
 2 アメリカにおけるヨーガ
 3 ミラーと野口米次郎の協同生活
 4 ハリス教団の新井奥邃と長澤鼎
 5 木村秀雄の霊的活動とアメリカ

コラム 宗教会議の時代 岡本佳子

第3部 波及

第8章 田岡嶺雲と神秘思想 穂波慶一
 1 明治中期の社会的状況
 2 田岡嶺雲の「神秘哲学」――一八九〇年代を中心に
 3 「学知」から「霊知」へ――インド哲学研究のゆくえ

第9章 九鬼周造と輪廻転生――両大戦間の知的環境における「時間論」の位置 稲賀繁美
 1 岡倉覚三から九鬼周造へ
 2 “Unite extatique”
 3 業(カルマ)と涅槃(ニルヴァーナ)
 4 シジフォスの神話の再解釈
 5 岡倉覚三の道教再解釈
 6 九鬼周造を囲繞するインドラ網
 7 三島由紀夫あるいは「先回りした剽窃」
 8 伊勢神宮の押韻――おわりに

年表 近代神智学運動とその時代(一八七五―一九四五年) 莊千慧

あとがき 岡本佳子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

70
オカルトっぽいイメージある(まあ、実際・・)神智学の歴史を学問的に研究した本。 やや難しいけど興味深い。 仏教やヨーガを西洋に紹介したのはこの運動。 日本の明治にも大変かかわりがあるのが意外だった2023/01/27

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