ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか

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ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか

  • 著者名:畑中章宏【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 晶文社(2022/09発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794969101

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内容説明

若くして才能を発揮しながら、29歳で夭逝した童話作家・新美南吉。代表作「ごん狐」は、50年以上にわたって小学4年生の国語教科書に採用され、読み継がれているが、その今日的な視点については見過ごされてきた。 コミュニティが果たす役割、生態系の保護や自然との共生、民俗知の継承といった課題が見直されるなか、南吉の描く世界は、現代社会に多くの示唆を与えてくれる。 遺された童話群を柳田国男、宮本常一ら民俗学者が掘り起こしてきたフォークロアの世界と比較するなど、作品に潜む思想性を読みなおし、今の時代を生き抜くヒントを見出していく画期的な試み。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

66
「なぜ撃ち殺されたのか」は最後までわかるようでわからない。説明されているのは、新美南吉の人生、生き方、考え方。10代半ばから創作を始め、20歳過ぎで喀血、30歳を待たずに亡くなる。若い男性がそんな話を書いたのかと驚く。彼の優しい視線で書かれた作品をたくさん読みたい。晩年に「早稲田大学新聞」に寄せた論文『童話における物語性の喪失』で主張したストーリー性の回復。そんな強い意識を持って優しい話を書いていたのだと感慨深い。「ごん狐」は元は「権狐」で。鈴木三重吉が改訂して『赤い鳥』に掲載し、誰もが知る話となった。2014/05/26

紫羊

30
のどかな山里の風景が描かれているが、新見南吉の作品の芯には常に、生きることの過酷さや哀しさがある。南吉の生涯を、彼が生きた時代背景とともに知ることができた。南吉を語る作者の温かい眼差しを感じた。2017/05/10

たくのみ

19
新美南吉の人柄と作品の成立のエピソードが胸を打つ。大正時代の自由な空気と、つらい戦争を生き、平和の時代が来る前に弱冠29歳で亡くなった、心優しい童話作家。「赤い鳥」、北原白秋との出会い、結果、日本中から愛される作家となった南吉。「権狐」が「ごんぎつね」として名作に昇華するまでの鈴木三重吉のかかわりも深い。なぜ、もっと評価されないのかね?童話界の偉人は宮沢賢治ばかりじゃないぞ。2013/10/31

GX

10
前に読んだ童話集で、「ごん狐」以上に、「鳥右エ門諸国をめぐる」が、強烈に印象に残っていました。「最も弱い物」が持つ力が描きだそうとしたのですね。だだ、それが「力」として成立するためには、その力を感じ取る/取れる力が必要ですね。2021/10/13

yamakujira

9
タイトルに惹かれて、キツネの生態学や民俗学を期待したものの、タイトルは客寄せのキャッチだったんだね。本書の内容は「ごんぎつね」の著者について、その生い立ちや時代背景から創作に秘められた真意を読み解こうという新見南吉論なんだけれど、こうした考証は国語のテスト問題に似て、深読みしすぎじゃないかと違和感を感じる。ただし、戦時下の検閲で表現が制限される時代に、それでも作品を世に送ろうという南吉の苦悩と葛藤は理解できるし痛々しい。新見南吉がこんなに多作だったのも、若くして死んだことを知らなかった。 (★★★☆☆)2017/07/06

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