内容説明
『鬼滅の刃』は、連載中から大きな注目を集めており、映画公開の頃にはすでに社会現象となっていた。このように多くの人が『鬼滅の刃』に魅了され続けているということの文化的な意味について、そして何がそのような共感をもたらすのかについて、本書は現代日本文化の中にある「鬼滅的なもの」について接近することで理解を試みる。
目次
序 章 妖異なものへの入り口
1 「夕闇が深くなると」
2 時空間─妖異なものの存在する場所
3 出来事の伝承
4 語りの世界線
5 本書の方法
6 各章のあらまし
第1章 流血の妖異
1 血の形質
2 流血の妖異
3 血の分有
4 血と薬
5 疫学と秘蹟
第2章 暗闇と魂
1 鬼は現れるために隠れている
2 異界はどこにあるのか
3 魂の場所
4 鬼として成り受ける生
第3章 修験の命脈
1 修験の命脈
2 ヒノカミ神楽の実践
3 「ヒノカミ様になりきる」
4 太陽の刀
5 神楽の鬼狩り
6 ヒノカミ様と鬼
第4章 鬼狩りの卒業
1 鬼狩りの反世間
2 鬼狩りは鬼に合わせて個になる
3 鬼殺隊士になるということ
4 産屋敷のモラル・エコノミー
5 鬼狩りの卒業
第5章 かまぼこ隊の家
1 かまぼこ隊の家
2 一世代の物語
3 死者と会う場所
4 情の掛け合い
5 無縁と鬼
6 家はどこにあるのか
第6章 かなしみの匂い
1 かなしみの匂い
2 情念の伝承
3 落涙の絵詞
4 鬼になる「ふし」
第7章 がらくたの笛
1 羅生門効果
2 黒死牟と巌勝
3 炭吉の記憶と縁壱の語り
4 がらくたの笛
第8章 反復の彼岸
1 次から次に
2 記憶する細胞
3 縁壱になるということ
4 「人の想い」の繰り返し
5 夢の中の死
第9章 感覚の複製
1 感覚の複製
2 痣の発現
3 欠損の剣劇
4 肉の鎧
5 太陽に焼かれる
終 章 人と鬼のあいだにあるもの
1 妖異なものの感性
2 人と鬼のあいだ
3 異界への扉
4 断片から生まれる世界感
参考文献・資料
あとがき
事項索引
『鬼滅の刃』引用索引