内容説明
コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻……人類史レヴェルの危機に直面し、私たちは正念場を迎えている。今こそどんな未来を選び取るのかが問われているのだ。この歴史の転換期にあたり、天皇論や三島由紀夫論など対話を重ねてきた二人の知性が、新たな日本のアイデンティティを模索した。蔓延する「日本スゴイ」論を、鍛え抜かれた言葉と思索の力で徹底検証。将来世代のことを視野に入れ、環境、ジェンダー、平和など、あくまで理想を追求し続けるために我々は何をなすべきか、国を愛するとはどういうことかをラディカルに問うた「憂国」の書。
なお本書の元となった対話は、平成の天皇(現・上皇)が退位を宣言した後の二〇一九年一月、コロナ禍中の二〇二〇年八月および二〇二一年三月、そしてロシアのウクライナ侵攻最中の二〇二二年四月に行われた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
109
三島由紀夫氏の自決、バブル崩壊、日本の凋落、同時多発テロ、気候変動問題、コロナ禍、ウクライナ侵攻などの歴史を踏まえて、「考えに考え抜くことが今ほど必要な時はない」という二つの知性がぶつかり合う刺激に満ちた対談だった。平野さんの「分人主義」は面白い。自分探しとかアイデンティティなどと言うが、個人の中に複数性を抱きながら生きるという考え方は新鮮である。大澤先生が示す「国民国家への懐疑」も鋭い。困難な状況の中でも「根拠」と「正義」を大切にし、「反シニシズム」の姿勢を共有する二人の思いが、熱い対談に結実している。2022/08/17
ころこ
35
大澤の本や対談は多く読んでいるので、どんな議論をするかは想像できる。本書はそのレベルからは明らかに低い。とすれば、この対談の問題は平野に原因があると考えられる。平野は不思議なことに、文学の話はせずによく人類学や政治学の話をする。しかし、平野のそういった話は教科書的で、現実の問題に対して正しさを示すことによって説得しようとする。平野のフィールドである文学の話をしないのは全く不思議なことである。主語が「わたし」や「ぼく」の話が無いことも、平野が人類学や政治学の話をよくすることと同根のようにみえる。ところが、本2022/09/27
まゆまゆ
14
日本社会の極端な凋落の背景にある複雑に絡み合った多くの問題について思いを馳せる対談本。簡単に解決しないからこそ十分に考えていかなけれなならないけど、時間がかかりすぎるのもまた問題。トライアンドエラーをすることなくただ凋落している現状は間違いなく政治のせいである、と。2022/11/14
武井 康則
10
どの対談もそうだが、最初は相手のスタンスや共通の話題等の探り合いで、適当な合意が打たれ続けるが、本文からの抜き出し、176ページあたりから俄然面白くなってくる。内容はコロナ以後の世界と日本。気候変動、ロシアのウクライナ侵攻。 今回のコロナ禍は、地球規模で起こっています。この問題に関係ないと言える人は世界で一人もいません。すると、コロナが収束したとき、世界中の人たちのものの見え方、世界の捉え方は根本的に変わっていくでしよう。ところが、日本政府と日本人は、ここまで二人で話してきたように、ほとんど無策だったに2023/11/13
coldsurgeon
7
日本の未来予測は悲観的である。現状の社会活動において、希望を抱いて、あるべき未来の日本に向けて、うまくいっていることも少しあるが、うまくいかないことの方が多い。後者に対してのいくつかの提言が、対談中になされ、つくづく考えさせられる。コロナ感染症、ロシアのウクライナ侵攻など、解決の糸口がつかめないモノばかりだが、諦めることなく、しっかりと考えていかなくてはいけない。受け入れがたい未来予測を受容し、絶望し、その先に思い切った決断が必要になるだろう。2022/07/28
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