文春文庫<br> 魔王の島

個数:1
紙書籍版価格
¥1,210
  • 電子書籍
  • Reader

文春文庫
魔王の島

  • ISBN:9784167919399

ファイル: /

内容説明

――彼女のはなしは信じるな。
 
2019年度コニャック・ミステリ大賞受賞、
幾重もの罠を張り巡らせた真のサイコ・ミステリー。

祖母の訃報を受け、彼女は孤島に渡った。終戦直後に祖母とここで働き始めた者たちだけが住む島。本土への船が来る日までを島で過ごす彼女は、やがてこの島に漂う不吉な影に気づきはじめる。ここには何か忌まわしい過去がある。そして若き日の祖母の手記にも謎の「魔王」の影が……。

島で行われていたというナチスの実験。
この島に逗留し、やがて海で死んだ子供たち。
何かを封じた開かずの扉。
すべての核心となる「サンドリーヌの避難所」事件。

積み重なる謎。高まりゆく不安と恐怖。

誰かが誰かを欺こうとしている。
誰が誰を欺こうとしているのか?
いったい何が真実なのか?

読めば読むほど深まる謎また謎。曲折しながら突進する行先不明のストーリー。反則スレスレの大驚愕。――この種の不敵なミステリーの名産地といえばフランス。そこから新たな鬼才が登場しました。不吉なイメージの乱舞と恐ろしい出来事の連打の中に編み込まれた幾重もの罠! 

『その女アレックス』のルメートル、『黒い睡蓮』のビュッシ、『パリのアパルトマン』のミュッソに続くフランスの刺客、ジェローム・ルブリ。その大胆不敵な怪技をご体験ください。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

329
フランスのミステリは勢いがあるのか、続々と新しい作家が紹介される。そんな中コレは、何をいってもネタバレになる!と謳って期待値上げてくるタイプの作品。どれどれと読んでみると…まずまずというところ。話が二転三転するので退屈せず、リーダビリティは高い。しかし、精神医学に依って謎解きや捜査が進行するのは良しとしても、ずいぶん解釈が安直というか、ソレほんとに医学的にあってる?という薄っぺらさを感じ、なおかつ、そういった諸々をラストでさらに引っくり返してくるのだが、個人的には白ける畳み方だった。2022/09/21

starbro

226
文春のミステリーレビューで高評価だったので、読みました。孤島ホラーサイコミステリ、個人的には2022年のミステリ賞総なめの作品よりも、本作の方が好みです。但し、小説の中とは言え、子供や子猫を大量虐殺してはイケマセン。 このレビューは「魔王」シューベルト作曲/ゲーテ詩を聴きながら、書きました♪ https://www.youtube.com/watch?v=fhLfZ6zwMgs https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841679193992022/12/05

パトラッシュ

171
横溝正史風な孤島での殺人ドラマ的に始まるが、やがて連続少女誘拐監禁のサイコサスペンスに移行する。錯綜する謎と悪夢と奇妙な矛盾点に翻弄されながら進むと、最後はあまりにも悲惨な現実に耐え切れず原題通り「心の避難所」を求めた男の悲劇に収束するのだ。事件の真相ではなく二重三重の入れ子構造の解明が主眼であり、ミステリというよりフランス伝統の心理小説の色彩が濃いが、僅かな傷もなく突っ走る構成は鮮やか。シューベルトの「魔王」が全編に鳴り響き、最終章はピアノが一旦止まり「その腕の中で子は死んでいた」と歌われるようだった。2022/10/13

ちょろこ

126
巧い一冊。面白かった。その言葉オンリーがきちんと心に残るほど、構成が、展開が巧い。終戦後、幸せの場所として提供された孤島から始まるストーリーは終始不穏な空気と秘密めいた空気感が物語を灰色に染め上げる。こういう世界観はこちらまで心ざわざわさせられるからたまらない。そこから待ち受けているのは予想もつかない展開。心痛む描写もあるけれど、この物語の出口はどこなのか、"真"と"芯"はどこに宿るのか、灰色は純白に変わるのか…ドキドキ感は止まらない。夢中の面白さと無限の心なるものを学んだフランスサスペンスにめちゃ拍手。2023/04/21

KAZOO

115
様々な書評などで評判が高いので先に読みとおしました。最初読んでいるとフランス版横溝正史か三津田信三の作品のイメージでした。しかしながら読んでいくうちにおかしな感じを受けて非常に困惑させられると同時に最後はえっえっえっ・・・、というイメージでした。あまり説明するとネタバレになりますが、いくつもの入れ子構造のような感じです。私はまあ楽しめました。2022/10/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/20005258
  • ご注意事項