筑摩選書<br> 徹底検証 日本の右傾化

個数:1
紙書籍版価格
¥1,980
  • 電子書籍
  • Reader

筑摩選書
徹底検証 日本の右傾化

  • 著者名:塚田穂高【著者】
  • 価格 ¥1,815(本体¥1,650)
  • 筑摩書房(2022/08発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480016492

ファイル: /

内容説明

日本の右傾化が進んでいると言われて久しい。実際、ヘイトスピーチや改憲潮流、日本会議など、それを示す事例には事欠かない。ならば日本社会は、全般的に右傾化が進んでいるのか? 本書ではその全体像を明らかにすべく、ジャーナリストから研究者まで第一級の書き手が結集。「社会」「政治と市民」「国家と教育」「家族と女性」「言論と報道」「宗教」の六分野において、それぞれ実態を明らかにしていく。いま、もっとも包括的にして最良の「右傾化」研究の書である。 ※ 著者からの申し出により、本電子書籍版に「第6章 有権者の「右傾化」を検証する」は収録されていません。

目次

はじめに/第I部 壊れる社会──新自由主義、レイシズム、ヘイトスピーチ/第1章 罪深く恥ずかしい「サロゲート」に沈み込む前に 斎藤貴男/第2章 在日コリアンへのレイシズムとインターネット 高史明/第3章 ヘイトスピーチ、極右政治家、日本会議──特報部の現場から 佐藤圭/第II部 政治と市民──右傾化はどこで起こっているのか/第4章 排外主義とヘイトスピーチ 樋口直人/第5章 自民党の右傾化──その原因を分析する 中北浩爾/第6章 有権者の「右傾化」を検証する 竹中佳彦(※著者からの申し出により、本章は収録されていません。)/第III部 国家と教育──強まる統制、侵蝕される個人/第7章 〈震災後〉の日本におけるネオナショナリズム マーク・R・マリンズ/第8章 教育基本法「改定」とその後 大内裕和/第9章 国に都合のいい子、親、教師をつくる教育政策 杉原里美/第Ⅳ部 家族と女性──上からの押し付け、連動する草の根/第10章 重要条文・憲法二四条はなぜ狙われるのか 清末愛砂/第11章 結婚、家族をめぐる保守の動き 斉藤正美/第12章 税制で誘導される「家族の絆」 堀内京子/第V部 言論と報道──自己賛美と憎悪の連鎖に向き合う/第13章 「日本スゴイ」という国民の物語 早川タダノリ/第14章 〝歴史戦の決戦兵器〟、「WGIP」論の現在 能川元一/第15章 狙われ続ける「慰安婦報道」 北野隆一/第16章 暴走する権力と言論の自由──シリーズ「時代の正体」の現場から 田崎基/第VI部 蠢動する宗教──見えにくい実態、問われる政治への関与/第17章 神道政治連盟の目指すものとその歴史──戦後の国体論的な神道の流れ 島薗進/第18章 創価学会・公明党の自民党「内棲」化 藤田庄市/第19章 統一教会=勝共連合──その右派運動の歴史と現在 鈴木エイト/第20章 幸福の科学=幸福実現党──その右傾化、保守運動との齟齬 藤倉善郎/第21章 「宗教の右傾化」はどこにあるのか──現代日本「宗教」の類型的把握から 塚田穂高/おわりに 塚田穂高/あとがき/「日本の右傾化」を考えるためのブックガイド/「日本の右傾化」関連年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coolflat

25
自民党の憲法や外交・安全保障に関する政策位置は、2000年代以降、右傾化しており、方向性としては戦前に回帰するものといえる。ただし、それは極めて限定的であり、「戦後レジーム」の枠内での揺り戻しにとどまっている。ましてや軍国主義やファシズムとは全く別物である。その間、有権者の政策位置は右寄りに変化していないし、日本会議の中心を担う宗教団体の影響力の増大も見られない。自民党の右傾化の原因は、世論や支持基盤の変化ではなく、政策的に左に位置する民主党の台頭であり、副次的には派閥の衰退という政党組織の変化である。2017/09/15

ばんだねいっぺい

23
どこを真ん中とするかにより左右は、変わる。根本は「生存の不安」でそれがヘイトスピーチとなり、伝統的価値観の回帰となり、これは、そもそもが宗教との親和性のあることでもある。 野党転落の影響は、あぁ、そうかと思った。批判と同時に「生存の不安」に対するリベラルの回答がやっぱり必要だ。2022/09/03

Toska

19
「日本はすでに右傾化した」という前提からの分析なのか、「日本は(どこまで)右傾化しているのか?」自体を問うのか、若干足元が定まらない感はあるが、多彩な切り口と問題意識で読ませる論集。全体として、社会よりも政府(自民党)の右傾化が先行している印象を受けた。この点で、「より左に位置する民主党と競合した結果、自民党の右旋回が進んだ」という中北論文の指摘が興味深い。旧民主党政権をモデルとする「ダラシナイ野党」イメージが自民党にとり最大の政治的資源となっている今日、右傾化は当分続くのだろう。2022/09/23

coolflat

18
安倍晋三殺害に関しメモ。350頁。韓国中心主義である統一教会は、天皇・皇室を低くみており、日本の右派とは元来、相容れないはずだった。そのような齟齬を抱える両者だが、冷戦時代には「反共」「保守的家族観」という共通項のみで奇妙な「共闘」関係を取り結んでいた。その内実は、政治家側は統一教会を票田や選挙運動のコマとして重宝し、教団側は見返りに政治的な庇護を受けるという相補関係にあった。しかし冷戦終結で「反共」が時代遅れとなり、霊感商法の手口も悪質化するばかりで、それまで庇護してきた政治家も距離を置くようになった。2022/07/09

スイ

15
ざっくりと日本社会について書くのではなく、政治、教育、宗教といった分野ごとにそれぞれ注視してきた人たちが書いているので、非常にわかりやすかった。 著者によって見方も温度も違うのも良い。 2022/09/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11559939
  • ご注意事項

最近チェックした商品