刑期なき殺人犯――司法精神病院の「塀の中」で

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刑期なき殺人犯――司法精神病院の「塀の中」で

  • ISBN:9784750517520

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内容説明

両親を射殺して出頭。しかし「刑事責任能力」はナシ。
統合失調症により心神喪失した凶悪殺人犯はどこへゆくのか。

犯罪精神医療界の構造的な歪みと限界を暴く第一級のノンフィクション。
【精神医療、司法制度に関心のあるすべての人の必読書】


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愛を知らない孤独な青年が、ある日、自宅で父と母を射殺した。
しかし、統合失調症のため、司法精神病院へ措置入院となる。

過剰投薬の拒否、回復の徴候、脱獄未遂、自ら弁護人となっての本人訴訟……。
――そして彼は、今なお病院から出られないでいる。

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犯罪者は逮捕後、世の人々の前からは消えるが、いなくなったわけではない。人生は続くのだ。重警備の刑務所で、あるいは司法精神病院で……。

本書は、評決が読み上げられ、判決が下されたところからはじまる物語だ。
複雑かつ混沌としてはいるが、その後のストーリーはひっそりと、たしかに存在している――。


《当代随一のノンフィクション作家にして精神分析医が描く、殺人犯の青年に降りかかった判決後の驚くべき人生とは》

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【目次】
■はじめに

1……止まった時間
2……汝の父母を敬え
3……想定外の誕生
4……水よりも濃し
5……罪の重さは
6……「フォーカス・オン・フィクション」
7……第八病棟
8……リハビリと抗精神病薬
9……「拘束衣を解いて」
10……過剰に宗教的
11……転換点
12……薬男
13……疑惑
14……思考犯罪
15……怒りと拘束
16……?獄
17……レディ・キラー
18……「みな恐れている」
19……本人訴訟
20……正気が回復するまで

■訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

19
精神病による心神喪失状態で両親を射殺し、司法精神病院に送られた男に関するノンフィクション。やがてかれは病は寛解したと主張し、病院からの退院を求めて裁判を起こすようになるのだけど……という流れで、かれが精神を病んだ経緯と、病院の問題点、そもそも心神喪失状態とは、ということにまで踏み込んだ内容になっている。ただ、ここまで本人の記述に沿って書かれた内容からでも、浮かぶ違和感はあるので、簡単に解決しない問題なのだろうとは思う。2022/10/29

香菜子(かなこ・Kanako)

19
刑期なき殺人犯――司法精神病院の「塀の中」で。ミキータ・ブロットマン先生の著書。精神疾患や精神病と凶悪犯罪の問題はとても難しい。精神疾患や精神病と凶悪犯罪の問題はとても難しいのは日本だけではなくて外国でも同じこと。精神疾患や精神病の状態で凶悪犯罪を犯して刑事責任能力なしと判断されてもそれで万事解決というわけではない。司法精神病院へ措置入院。それからも精神疾患や精神病の状態で凶悪犯罪を犯した本人の人生は続くし周りの支援も必要。精神疾患や精神病の患者さんをサポートする制度を整えないと問題は解決しない。 2022/10/08

5
精神病は器質的なものであってほしいし、誰にでもはっきり診断できるものであってほしい。けどそれはずーーっと先のことだろう。であれば、今できる精一杯を誠実にやるしかない。2023/07/11

DEE

5
親にならない方が幸せであろう両親に育てられ精神疾患を発症したブライアンは、ある日両親を撃ち殺す。そして裁判能力なしの判決により司法精神病院に入れられる。どんなに回復を見せても医師の匙加減一つで待遇が変わる。いつ退院できるかも分からず、必要あるのかどうか不明な薬を飲まされ夢うつつを彷徨い、時には拘束され自由を奪われる。刑務所の方がマシと考えることも。精神疾患の冤罪とも言えるが、回復度合や評価基準が千差万別なうえ、誤った判断は再び凶悪犯罪につながる。診断と治療の究極的な難しさを痛感する。2023/03/10

jolly

3
これはいろいろ考えさせられる。とある前提があると精神病と診断するのはすごくかんたんなことなんだなと。自分なんかはまちがいなくそう診断されるんだろうな。日本の精神病医療がどんなものか知らんけどね。2022/10/28

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