内容説明
地中海交易で財をなし、共和国として千年以上にわたって命脈を保った海上国家ヴェネツィア。ビザンツ世界とローマ・カトリック世界の間という特殊な立地を活かした海上交易や海上領土の存在が注目されがちだが、実はその陸上領土が重要な役割を果たしていた。本書では伝説上の5世紀の建国から説き起こし、18世紀末の共和国滅亡とイタリア王国への編までを扱う。「史上最も長く続いた共和国」の好個の通史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
6
ヴェネツィア共和国の通史。度重なるイタリア戦争の中で獲得したイタリア半島側の領土(テッラフェルマ)にも重点を置いた記述が印象的。16世紀以降、地中海交易での優威を失い海運事業が没落していく一方で、安定的な原料確保・商品市場となる陸上領土の存在が、地域国家として存続できた要因だとする。またテッラフェルマ側もヴェネツィアの権威を利用して政治を行うなど、お互いにメリットを引き出せる関係であったことは面白い。ヴェネツィア共和国の「海」以外の面も知れる一冊であった。2018/04/06
figaro
2
海の都であるヴェネツィアは、歴史の始まりから終わりまで、共和制を維持した。公的な場所に銅像を建設することを禁止するほど僭主の登場を警戒した。ビザンチンとの深い繋がり、教皇との距離、東地中海でのイスラム教の国とのムーダによる取引が共和制を支える条件であった。16世紀以降、オスマン帝国が台頭し、西ヨーロッパの大国に翻弄され、北部イタリア諸都市が領域国家を目指す中で、ヴェネツィアもテッサフェルマの拡大によって経済を支えることになる。ただ、過去の栄光を讃えるコンタリーニのヴェネツィア神話による誇張も見逃せない。2019/09/11
てり
1
ヴェネツィアの通史。海を支配した黄金期以降の産業をシフトしていく経過や、陸上領土(テッラフェルマ)の解説が詳しく勉強になる。1000年以上も続いた長い歴史なだけに、そのはじまりから終わりまでまるで大河小説のようにも感じる。興味深く読めて満足。2022/12/13
もふもっふぃー
0
面白かった。参考文献も多くて内容は詳しい。ヴェネツィアについて知りたいときにまずあたってもいいと思う。(ちょっと予備知識つけてからでないと難しい)2025/02/01
白いハエ
0
水滸伝の梁山泊やイラクの南東部と同じく、ヴェネツィアは海辺の沼沢地に逃げ込んだ人々によって建てられた街だという。それ以来、製塩を軸に東西を繋ぐ水運業を生業として栄え、東西の圧力に屈して衰退した。しかし、ヨーロッパ北部の都市国家と比べて絢爛かつ戦争の多いことか。不安定な情勢の中でも、教皇や皇帝などの外部の権力に依らず「ヴェネツィア」としての統治体制・権威を独自に確立していた点が興味深かった。だからこそ陸地に支配域が必要だった、という盲点でありながら自然な流れを明快に示す堅実な歴史読本と映った。2024/12/19
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