NHKブックス<br> 「修養」の日本近代 自分磨きの150年をたどる

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NHKブックス
「修養」の日本近代 自分磨きの150年をたどる

  • 著者名:大澤絢子
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • NHK出版(2022/08発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784140912744

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内容説明

何が「働くノン・エリート」を駆り立てたのか?

明治・大正期、旧制高校を出て帝国大学に入るようなエリートになれなかった多くの人々は、どうやって「立身出世」すべきか分からなかった。昭和期、サラリーマンになることで身を立てる人が増えたが、何を拠りどころにして働けばいいかが分からない。会社で「研修」に励んだ彼らは、平成以降の低成長期に入ると、派手な成功を望みづらいなかで、自己啓発やビジネス書の消費者となっていった 。近代日本の歴史の根底には、「働くノン・エリート」の「自己向上」への意欲が、常に「宗教っぽいもの」をまといながら、水脈となって流れていたのだ。明治から現代まで連綿と続く営為の系譜をたどり、“日本資本主義の精神”の展開史を描き出す!

序章 「自分磨き」の志向 
第一章 語られた修養 伝統宗教と〈宗教っぽい〉もの
第二章 Self-Helpの波紋 立身出世と成功の夢
第三章 働く青年と処世術 新渡戸稲造と『実業之日本』
第四章  「経営の神様」と宗教 松下幸之助の実践
第五章 修養する企業集団 ダスキンの向上心
終章 修養の系譜と近代日本 集団の中で自分を磨く

*電子書籍版には収録していない資料写真が1点ございます。ご了承ください。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

105
修養、教養、修身、自己啓発…微妙にニュアンスが違う。本書は、明治以降の「修養」の取組みが3人の代表的な人物に焦点を当てて記述されている。エリートへの教養教育とともにノン・エリートに対する修養に力を注いだ新渡戸稲造、会社という集団の中で修養する体制を作った松下幸之助、宗教的な要素を取り入れた企業集団としたダスキンの鈴木清一。本来は純粋な人格形成のための修養が、功名や立身出世の手段となり、それが企業によって操縦されてきた歴史がある。今、教養主義が没落し、自己啓発という手段だけが残渣となっている寂しさを感じる。2022/10/07

くらすけ

14
歴史を知り、自己啓発を客観視すること=健全な野心につながると考えていて、手に取った。松下幸之助やダスキンの創業者などの名を知られた日本のビジネスマンも宗教っぽいものの影響を受けてると知れた。新渡戸稲造が意外にも庶民向けの雑誌に寄稿してるのも知らなかった。そうした意外な事実のディテールが知れるだけでも読んでて良かった、楽しかったと思えた本でした。2023/08/19

はとむぎ

9
流し読み。修養は、娯楽でもあり実学でもある。だから、自己啓発書って面白い。盲目にならないで、他人に押し付けなければ良いものかな。2024/01/21

Hiroo Shimoda

6
なかなか面白い。自己啓発と宗教の関係は考えさせられる。本書で語られる松下幸之助は勿論だが、稲盛和夫もそういうところがあるし、今の日本のビジネスパーソンのスキルに欠けるのはそういう規範なのかもしれない2023/08/27

ami

6
明治の「修養」ブームから自己啓発の系譜を描いていて面白い。「人格の形成・向上」という点でやっぱり宗教の実践や言説は有効なんだなと改めて感じた。思想を脱色した「宗教っぽいもの」が修養の核として機能し、今の自己啓発に至るのだとすると、宗教の部分が完全に抜けきり資本に完全に乗っ取られたのが今の自己啓発なのだと思う。2022/09/21

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