講談社学術文庫<br> 花の民俗学

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講談社学術文庫
花の民俗学

  • 著者名:桜井満【著】
  • 価格 ¥1,265(本体¥1,150)
  • 講談社(2022/08発売)
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  • ISBN:9784061598577

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内容説明

万葉の花、正月の花、花と祭り……
日本人の生活と文化に花はどのように生きてきたか

日本人にとって花とはいったい何であろうか――。豊かな実りへの願望をこめて開花を待ち、四季折々に花を愛で、その移ろいに「あはれ」を感じ、いけ花という芸術を生んだ日本人。その心の原点を、万葉集、古今和歌集など古典の世界に渉猟し、各地の祭りや正月、雛祭り、端午の節供、重陽の節供など年中行事の民俗に探訪する、花をめぐる生活文化史。

本来、ハナは、実りの先触れ・前兆といった意味をもつのであり、サクラという語は、サは田の神・穀霊のことで、クラは神座の意であったから、田の神の依代と考えられての呼称とみられる。その花は、田の神の意志の発現であると信じられたに違いない。それは、田仕事にとりかかろうとする時期に、パッと咲くみごとな花に名づけられたのであろう。――<本書「花見の伝統」より>

※本書は、1985年4月、雄山閣出版より刊行された『花の民俗学〈新装版〉』を原本としました。

目次

序説
花と生活史
花と古典
結びにかえて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

レアル

57
例えば春の花見を代表するサクラ。その「サクラ」の「サ」は穀霊を表す古語、「クラ」は神座の意であり、春に咲く穀霊の依代としての名を背負っている花であり、その花の咲き具合によって、秋の実りの豊凶を占う呪農の花。私たち日本人は桜の花見をする際、その由来を考えたことがあるだろうか。またお正月にはなぜ「松竹梅」?と日本の五節句を中心に和歌や神話等に纏わるお話を下地に「日本人にとって花とは何か?」を描いている本。私にとってこの本は日頃何気なく行っている「行事や祭事」を振り返る事の出来た良い本だった。2019/07/03

双海(ふたみ)

9
日本人にとって花とはいったい何であろうか?この疑問に答えるべく著者(桜井満國學院大學教授)は『万葉集』『日本書紀』『古事記』『古今和歌集』『懐風藻』『源氏物語』などの古典の世界を旅する。私の興味関心では「さくら」に関する記述が豊富な「花と祭り」の章と、神宮(伊勢)に関する「心の御柱」の章が印象強い。2013/12/08

高槻

7
季節の花と折々の祭り、花と芸道、神話・伝説・古典に登場する花について 農耕民族であった日本人にとって、花は神意の発現と信じられて来た 桜の語源として、穀霊を表す古語のサと神座の意のクラの組み合わせという説がある 菖蒲、蓬と「食わず女房」については、これらの植物の強い香りによって避邪の霊威をもつと見られて来たために物語に登場したのではないかとされることを初めて知った 子どもの頃にこの昔話を読んで、女の正体が化物だとわかる場面よりも草むらに投げ込まれただけで体が溶けてしまった場面の方が余程怖かったので、これ2017/10/07

メーテル/草津仁秋斗

1
花に纏わる古代から現代までの深呼吸や民俗、古典に見る植物の捉えられ方、風姿花伝における花の意味など、様々な観点から日本人と花の関係について記した本。2015/06/07

秋良

0
花は枯れていく過程が醜いし虫が寄ってくるからあまり好きじゃなかったんだけど、昔の人は散りゆくさまにも「あはれ」を感じてたとか読んじゃうと、ううむ。もう少し花にも興味をもってみようか。いや、でも虫嫌いなんだって。2014/01/12

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