内容説明
ところで私は、東京にいるとき、あまりチキンライスを食べない。
旅の空の下で、チキンライスは、私と切っても切れないものになるのである。
(本文より)
初対面の人びととの接触こそ旅の醍醐味と唱え、自分が生まれた日の父のことばを思い、四季のない町は日本の町ではないと説いて薄れゆく季節感を憂える……。時代小説の大家にして食エッセイの達人が綴る、食、旅、暮らし。
〈巻末付録〉有馬頼義・おおば比呂司・池波正太郎座談会「わたくしの味自慢」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コジ
24
★★★☆☆ 池波正太郎のエッセイ。散歩や映画を観に行った帰りにフラリと蕎麦屋に立ち寄って、お新香で一合徳利で日本酒を呑みながら蕎麦を待つ…。憧れる。2023/12/22
テツ
15
池波正太郎のエッセイ。勿論時代小説も全て面白いけれど、エッセイも面白いですよね。いくつになっても、仕事が忙しくても、余暇をしっかりと楽しんだり美味しいものを食べたりする時間は大切にしたいなと感じます。休日に時間を贅沢に浪費してダラダラと美味しいものを食べたり、散歩したり、そうした無駄な時間こそが人生を豊かにするし「しあわせ」と直結しているんだろうな。忙しい日常生活の中でもそうした余裕を忘れずにいたいものです。……チキンライス食いたくなるな。2023/03/06
まさ☆( ^ω^ )♬
7
本屋で目について手に取った一冊。エッセイ集ですが、解説もないのでどんな意図があっての選集なのか不明です。70年代〜80年代にかけてのエッセイがランダムに並んでいる感じです。この時代だから仕方ないとは思いますが、急速に変化する世の中を憂う愚痴が多いのが煩いなあ、等と思ってしまいましたww いつの時代も良い面悪い面ありますし、得るものも失うものもあります。人生の先輩達には、もっとポジティブなご意見を発信して欲しいものです。2022/11/20
Cちゃん
4
古き良き東京の様子が沢山語られている。江戸前寿司の江戸前は東京湾の事と知った。今じゃ遺物ともいえる亭主関白な作者、最後の3者の対談も「なんじゃこのオヤジ達」と思うけど自分の父や祖父はこんな感じだった。ちかごろの日本は、何事にも、「白」でなければ「黒」である。その中間の色合いが、まったく消えてしまった。その色合いこそ、「融通」というものである。現代の女も男も、ほんとうの[たのしみごころ]を味わう術をうしなってしまった。あるものは、どこまで行っても尽きることのない[不満ごころ]のみの日本になってしまった。2023/05/30
kinghaya
2
★★★ 最近、ハマった作家さんのエッセイ。文章は軽やかなのに、読むのには時間かかった。情景などを丁寧に思い浮かべたからか。2023/01/23