内容説明
「死ぬ術は生涯をかけて学び取らねばならないものなのである」(セネカ)、「不知、生れ死ぬる人、何方より来たりて、何方へか去る」(鴨長明)、「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」(井伏鱒二)――ギリシア哲学から現代日本文学まで、内外の名著から、より善く老いるための箴言を厳選して懇切にガイドする。川本三郎氏推薦!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
107
ある必要が生じて読む。筆者は元新潮社の編集部長。古今の西洋と日本の著名作家哲学者による「老齢」と「死」に関わる、読むべき名著の中から例文を引用して紹介しつつ考えさせる、という書。様々な名言が並ぶが私の好みの文言はセネカの「白髪や皺などの人は長く生きたのではなく長くいただけの事」という一言。うむ、「ただいるだけ」とは、わが人生をピタリと表現してくれる名言だ、と思ってしまった。その他熟読玩味すべき名言が並んでおり、「老人」であることの意味が俄かに匂い立って(?)くる。2025/08/10
KAZOO
102
題名にあるように、元文芸雑誌「新潮」の編集長を務められた人が現在の年齢になって再読、三読に耐える本の紹介をしておられます。西洋の古典のキケロやセネカから始まり、日本の古典そして近現在の日本の作家の紹介となっています。その本の中の文章を紹介してくれているので、どこが印象に残ったのかがよくわかります。作者の経歴からなのでしょうか、文芸作品に特化している気がしました。参考になります。2023/08/24
tamami
53
長年文芸誌の編集者として活躍し、定年退職後民俗学徒に転じた著者が、蔵書の断捨離を行う中で、若い頃に読んだ古典や老大家の作品を再読三読、紹介も兼ねて感想を綴ったもの。多くの古典作品や小説・随筆などが取り上げられている中、モンテーニュやシェイクスピア、トルストイ、長明や芭蕉など古典中の箴言には素直に成る程と納得させられる。一方で、わが国の現代小説にも多く言及されているが、多様な老いの文学的表現と、その背景をなす文学者の生き方に対しては、戸惑いさえ覚える。私小説風な作品も多く、他人事ではないということだろうか。2022/11/04
koji
23
敬愛する川本三郎さんの推薦×「元文芸誌「新潮」編集長」兼「作家」×老年の読書、これは読まねばと手に取りました。いやぁ手広いですね。死、病気、家族、情炎、等々凡ゆる方向から「老年」を分析します。切り口となる文人たちの書物は、所謂古典が多いのですが、それだけに選ばれた言葉に重みがあります。私のお気に入りは、谷崎、川端、室生の情炎、「軽石」、「存在と時間」、「リア王」の章。特に、「軽石」の飄々とした愉快さがいいですね。私の義父のような、こんな老年、理想です。最後に一寸残念な所。手を広すぎて読み疲れを起こしました2022/10/11
オールド・ボリシェビク
9
著者は元新潮社の編集者。「新潮」編集長などを務めた。定年後、白山信仰の研究を深め、著書も多い。しかし、2013年にステージ4のがんの診断を下された。死と直面しつつ、読んでおきたいさまざまな本に思いを寄せるのである。キケロ、セネカからハイデガー、高見順、山田風太郎まで取り上げる50冊以上の本からは死臭がする。しかし、それは避けてはいけないものなのだ。しかしまあ、晩年の谷崎潤一郎の旺盛さには圧倒されるなあ。2023/04/14
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