内容説明
「日本は神風が吹く、神に守られた特別な国」という「神風思想」が生み出す「ニッポンすごい!」「独り善がりの排他主義」「根拠なき楽観主義」……元寇から特攻まで日本史を貫きつづけてきた「神風思想」は、太平洋戦争における敗戦という結末を迎えることとなったが、その意識自体はいまだ日本人の心に根強く生き続けている。
本書は、「神風思想」がいかに形づくられていったかを、史実に沿って検証、「神風が吹いたのは日本だけではない」「神社による立派な〈武器〉だった神風」「実は友好的だった元寇前のモンゴルの外交姿勢」「天皇制をこき下ろした天皇」「〈神の国〉ではなく〈人間本位〉を考えていた中世の政治家たち」「立憲制を念頭に置いていた大日本帝国憲法」など、日本が決して「神風思想」だけに凝り固まっていたわけではないことを示す事実を挙げながら、「神風思想」とそれに対峙する形の「撫民思想」とのせめぎ合い、そして「神風思想」の根幹をなす「根拠なき楽観」が招いた悲劇の過程を辿っていく。
歴史的論考としてはもちろん、コロナ禍、ウクライナ戦争など混迷の時代において危機をいかに克服していくべきかの指針ともなる一冊。
目次
第一章「元寇」と「神風」――元寇が生んだ「神風」意識の誕生と定着
第二章 神国ニッポン――日本はよそとは違う特別な国なのだ!
第三章“人のために神がある”――「敬神」へのアンチテーゼとしての「撫民」
第四章「国体」の形成――近世に見る「神の国」の復権
第五章 神武天皇と足利尊氏――国家の学問介入を象徴する二人
第六章「神の国」か「立憲主義」か――大日本帝国憲法をめぐる議論
第七章「神風」の終末――「神の国」が最後に目にしたもの



