内容説明
本書は、ペルシア湾岸の砂漠を舞台に史上空前のスケールで繰り広げられた空爆作戦と、それに続く大地上戦「砂漠の軍刀」作戦の全貌を、多国籍軍の公刊資料、中央軍総司令官ノーマン・シュワルツコフら関係者が著した膨大な数の文献を紐解くことで明らかにする。両軍合わせて7,000両の戦車が激突する死闘を制するのは、“無敵戦車”M1A1を擁する多国籍軍か、“バビロンの獅子”T72を放つイラク軍か。知られざる湾岸戦争の陸戦にスポットをあてた異色の戦史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スカイバニラ
10
イラク軍がかなり有能だったとよくわかる本。湾岸戦争直前、古い105mm砲装備のM1戦車を、サウジに建設した戦車改修工場で新型に交換するアメリカ的合理主義に呆れる本。イラク軍のクウェート侵攻作戦から湾岸戦争当時の陸戦の様子を司令官や戦闘に参加した兵士のエピソードも交えつつ詳細に解説している本です。イラク軍の共和国親衛隊の編成・戦力の解説で、雑誌にはイラク軍参謀長アルラワイ中将の写真が載ってましたが、本書では削除されてますね。この将軍、かなり有能な方で写真の面構えもなかなかのモノなので残念です。2011/08/01
銀獅子王の憂鬱
4
豊富な図と写真、丁寧な解説とボリュームから「大全」という名をつけてもいいくらいの本。当時の報道ではピンポイント爆撃による成果とイラク軍のふがいなさが勝敗要因だったと伝えられるが、F-111の爆撃や塹壕の生き埋めなど非人道的な作戦等、意外な事実を知ることができた。下巻では大規模な戦車対決があるらしく楽しみ。2011/09/18
YS-56
4
湾岸戦争の対イラク攻撃ファイナル・フェーズである100時間の地上戦。上下巻の本書は、その解説だけにとどまらず、湾岸戦争全体を俯瞰する良い資料となるでしょう。まず、上巻は米軍とイラク軍の軍備、湾岸危機の推移、砂漠の嵐作戦の評価、地上戦開始までを詳細に解説してます。気になった点は、砂漠の嵐作戦の大規模空爆の評価についてと、一枚岩とは言い難い米軍将帥達について。イラク軍の防空能力や、戦闘車両輸送能力の高さなども、興味深く読めました。2011/08/01
キミ兄
0
鉄工所か土木工事の説明を読んでいるよう。非人間的。☆☆☆☆。2012/04/23
芝山智樹
0
大満足。各種兵器の構造から、多国籍軍の戦術・兵士の視点まで丁寧に著述している。著者も自ら触れているが、イラク軍側の観点も欲しかった。
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