内容説明
NY近郊の別荘を借りて休暇を過ごす4人家族。休みを楽しんでいたのに、別荘の持ち主という夫婦が現れ、中に入れて欲しいと懇願される。やがて起こる奇妙な現象の数々。世界では、何かが起こっている――? 外界と遮断された6人が、生き残るすべを探し始める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
52
週末と終末。日本語で書くならば同音異義の言葉だが、この作品ではそれが一体化して、矮小化されたミニチュアのような”世界の終わり”を描き出している。勿論アプローチとしては特に目新しいものではない。物語で焦点が当てられる白人家族は俗っぽいと言えるほど月並みで、筋書きですらもあまりに淡々としている。しかし、だからこそ「今のアメリカ」を描き切った作者の凄まじい筆力が際立つのだ。フレドリック・ブラウンやレイ・ブラッドベリの短篇を思い起こす。寓話感と身が竦むような生々しさが同居する不気味な怪作だった。2022/08/18
星落秋風五丈原
35
アマンダは出版社の幹部で、クレイは書評家。休暇で別荘暮らしはいいけれど、他人の別荘を借りるというのがひっかかっていた。本当は自前で別荘くらい持ちたいアマンダは今回借りた別荘を「黒人が住んでいるような家ではなかった」と思っていた。ところが黒人夫妻のGHとルースがこの家の所有者であることが判明して複雑な思いに駆られる。ましてや夫の名前がジョージ・ワシントンだというので反応しルース達に見られてしまう。なぜまずいかというとジョージ・ワシントンは奴隷制推進論者だった。アマンダの反応は「何とも皮肉な名前」という意味。2024/01/02
本木英朗
19
アメリカの現代小説家のひとりである、ルマーン・アラムの長編のひとつである。アマンタとクレイは、子供ふたりと一緒にニューヨーク郊外に借りた別荘で一週間、休暇を楽しむつもりだった――という話から始まるのだが。うーん、ちょっと俺的にはダメだったようだ。以上です、はい。2022/12/04
スイ
17
コロナ禍を経験していなかったら、ずいぶんと受ける印象は違っていただろうと思う。 世界はまだ終わっていないけれど、私たちは終末の手触りを知ってしまった。 しかし、それは知らなかったのが幸運だっただけで、知っている人たちも大勢いたのだ。 続いていく世界で終末を抱いたまま、どう生きていこう。2022/09/21
アヴォカド
13
結局私にはわからなかった。そしてそれは案外正解なのかも。でも1番の難点は、食べ物が全然美味しそうじゃないこと。卵もパン粉も入れないハンバーグってどんなだ?!2022/09/16