内容説明
第68回江戸川乱歩賞受賞作。
史上最年少、選考委員満場一致。
「大新人時代」の超本命!
本格ミステリーの骨法もよく心得ている――綾辻行人
特A、もしくはA+、もしくはAA――月村了衛
二人の女性のバディ感が最高に楽しい――柴田よしき
極限状況で生きてゆくひとが、愛しくなる――新井素子
非日常を日常に落とし込む、その手捌きは実に秀逸である――京極夏彦
―滅びゆく世界に残された、彼女の歪んだ正義と私の希望
正義の消えた街で、悪意の暴走が始まったー
小惑星「テロス」が日本に衝突することが発表され、世界は大混乱に陥った。そんなパニックをよそに、小春は淡々とひとり太宰府で自動車の教習を受け続けている。小さな夢を叶えるために。年末、ある教習車のトランクを開けると、滅多刺しにされた女性の死体を発見する。教官で元刑事のイサガワとともに、地球最後の謎解きを始める――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
552
第68回江戸川乱歩賞受賞作ということで読みました。 http://www.mystery.or.jp/prize/detail/20681 毎年受賞作を楽しみにしています。史上最年少なので、初々しく粗削りですが、近未来デストピア終末ミステリの佳作でした。 著者は九大卒で舞台が福岡だったので、親近感が湧きました。受賞後第一作にも期待します。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003685832022/09/14
パトラッシュ
514
特殊設定ミステリは鮎川賞系列作家の専門分野と思っていたら、ついに乱歩賞でも出現した。人類滅亡が確定した近未来という半ばSF的な物語は多くの先行作品があるが、どこまでリアルに描けるかがフェアな謎解きを担保する鍵となる。絶望的な「此の世の果て」で発生した連続殺人の真相を追求する元刑事の先生と主人公のコンビはほとんど暴走しているが、自殺者や壊れた人のあふれる世界で最後まで人間らしく生きようと必死に駆け回る姿は魅力的で飽きさせない。殺人とその動機も極限状況下でしか起こり得ない意想外なもので、見事に一杯食わされた。2022/09/15
青乃108号
504
父母が亡くなった故郷の実家から帰って来て疲れてるにもかかわらず、読み出したら止められなくなった。小惑星の衝突目前という地球滅亡の危機的状況下で何故か自動車教習所で仮免試験を受けている主人公ハルと元刑事の教習所教官が連続殺人事件の犯人を追う事になるという物語が他の追随を許さない程ユニークで大変面白い。2人がようやく犯人を捕らえ、衝突まで3時間。接近して来る小惑星を見ながら2人が最後に交わす言葉は。ラストシーンはいつまでも俺の記憶に残るだろう。俺は愛する妻と娘と3人で身を寄せ合って、最後の瞬間を待ちたい。 2023/02/16
bunmei
460
2か月後に、隕石が地球に衝突する!そんな終末小説は、凪良作品の『滅びのシャングリア』が印象に残っているが、それとは全く違う視点で、地球滅亡目前の中で起きた、連続殺人事件を解き明かしていく、シュールなミステリー。この状況下で殺人犯を捜そうとするのは、正義感なのか、諦めなのか?しかも、犯人捜しをするのが、自動車教習所に通う女性とその女性教官の2人というのも、なかなか斬新。隕石衝突のSF要素は控え気味の中、謎解きミステリーとしては、状況が二転三転する中でのミスリードで、最後まで予断を許さない展開となっている。2022/10/14
Richard Thornburg
450
感想:★★★★ 読書メータ友達のオススメ書き込みを見て読んでみました。 一言で言うなら「めっちゃ面白い❣」です。 最初の数ページは読んでいて「なぜにこんな異常な状態を普通に話してるのか?」というところに、とても違和感があると思います。 しかし読み進めていくうちに主人公たちの置かれている状況がわかってくると「なるほど!『この世の果て』とは、そういうことなのか!」とわかってきます。 2022/10/17