内容説明
1789年、フランス革命が勃発。なんの罪もない貴族たちまで、共和国への叛逆者として次々と血に飢えたギロチンに送りこまれていった。そんななか、窮地に陥った貴族たちに海を挟んだ隣の国イギリスから救いの手を差し伸べたのが、謎の集団〈紅はこべ〉。その計画は大胆無比、紅はこべの花をかたどった小さなしるしが入った予告状が届いて数時間のうちに、厳重な警備をあざ笑うかのような鮮やかな手並みで、王党派や貴族たちを安全なイギリスの地に逃がしてしまうのだ。激動の時代の英仏を舞台に繰り広げられる絢爛たる歴史冒険大ロマン小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
321
ディケンズの『二都物語』をベースに、デュマをさらに一層通俗化した手法で書けば、こんな風になるだろうか。時は1872年。バスティーユ襲撃の3年後、ジロンド党がそしてジャコバン党が勢威を奮うフランス。そしてフランスの王党派を支援する対岸のイギリス、就中「紅はこべ」の一党の物語。紅はこべの快刀乱麻の活躍を描くが、彼の正体はかなり早い段階で読者にはわかる。同時に物語のおおよそのプロットもまた。社交界の華、マルグリートが彩りを添えるのだが、彼女は実は何の役にも立たない…どころか、単なる足手まといでしかない。⇒2024/10/12
まふ
120
フランス革命の直後貴族およびその一族を大量処刑している真最中の時期にイギリスから貴族の亡命を助ける「紅はこべ団」の活躍を描いた作品。ディケンズ「二都物語」を想起させる設定だが本人も影響を受けたと言っているらしい。冒険活劇としてなかなか優れており、女性の作品とは思えない。主人公マルグリットの兄はロベスピエールの腹心で刑死した超キレモノと同じ「サンジュスト」姓だったが、名前はアルマンであり(実在者はアントワーヌ)人違いだった。この戯曲が先に出てヒットしたというが、映画化しやすい筋立てと思った。G1000。2024/02/26
紅はこべ
118
勿論私のHNはこの作品に依っています。最初に読んだのは、小学校の図書室にあった、少年少女向けの世界文学全集の中の一冊。その全集には『奇巌城』もあった。この2冊はすっかり私を虜にしました。私の10代の心の恋人は、ヒースクリフ、シドニー・カートン、アルセーヌ・ルパンに紅はこべでした。ヒースクリフ以外の3人は何となく共通点がある感じ。高校生以降は西村孝次氏訳をいつも手許に。まさか新訳が読めるとは。改めて読むと、マルグリートの心境の描写、特に兄と夫への想いが少ししつこい。2023/04/20
海猫
74
「紅はこべ」はかなり以前、山崎洋子がリライトしたものを読んだことがあり、だいぶ内容を忘れたけれど面白かった印象がある。リライトしていないバージョンは読みたいと思っていて、新訳が出た機会にこの創元推理文庫を読んでみた。革命の嵐吹く18世紀フランスとイギリスを舞台に描く歴史冒険大ロマン。ギロチンの刃から貴族を救う紅はこべ、ということだが、メインで活躍するのはマルグリートという女性。彼女が翻弄され苦悩し行動するので、一種の恋愛サスペンス的に読める。後半は危機一髪が続くものの、紅はこべの知略で逆転する展開は爽快。2022/10/05
星落秋風五丈原
35
【ガーディアン必読1000冊】1792年、9月。フランスでは、次から次へと貴族が貴族であるというだけで、ギロチン台に送りこまれていた。貴族たちは安全な海の向こうのイギリスを目指すが、変装はたやすくばれていた。そんな時、逃亡貴族をイギリスに逃がす謎の集団が現れた。その名も紅はこべ。由来は、紅ハコベの印が入った紙に逃亡計画が記され、告知が届いてから数時間ののちには、公安委員会のもとに、かなるのかずの貴族達が安全なイギリスの地に逃れたという報告が入る。2023/07/17
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