創元推理文庫<br> 烙印

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創元推理文庫
烙印

  • 著者名:大下宇陀児【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 東京創元社(2022/09発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488464226

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内容説明

証書偽造が発覚、窮地に立たされた由比祐吉は破滅を逃れるため、恩義ある子爵の殺害を決意する。冷徹巧妙な殺人計画の進行を倒叙形式で描く「烙印」、横暴な父に苛められる母には秘密があった――子供の目を通して家庭の悲劇を描いた名篇「凧」、建設中のビルの鉄骨から転落した夫の死の真相が十九年後に明らかになる「不思議な母」、誘拐事件を扱った最後の推理短篇「螢」まで、戦後作を含む全八篇を収録。人物の性格や心理描写に優れた犯罪小説で探偵小説界に大きな足跡を残した巨匠、大下宇陀児の短篇傑作選。/【目次】烙印/爪/決闘街/情鬼/凧/不思議な母/危険なる姉妹/螢/〈エッセイ〉乱歩の脱皮/探偵小説の中の人間/解題/解説=伊吹亜門

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

20
「偽悪病患者」が面白かったのでこちらも手に取りました。日本探偵小説創草期の作家の短編集。時代ならではの古さはもちろんあるものの、物語そのものの展開や人間心理の綾は時代を越えて面白い。後味がどこまでも悲しく苦しいけれど、それだけではない「情鬼」、この冒頭からどうしてこんな話にたどり着くのか、つくづく巧い「不思議な母」高橋葉介で漫画化してほしい「危険なる姉妹」が特に印象に残りました。2023/03/29

Urmnaf

13
前巻(偽悪病患者)よりもさらに魅力的な作品が多くなった全8篇の短編集。人間を描くことにこだわった変格の雄だけあって、探偵小説というより犯罪小説。結果、ちょっともの悲しい(結末が多い)。ある悪党と彼に助けられた女性の最後の行き違いが悲しい「情鬼」や、神童と呼ばれた少年が長じて道を外し母を裏切ろうとするが、すんでのところで真実を知るも自らは滅んでいく「凧」が印象に残る。中で「爪」なんかは、ちょっとパズラー臭がする倒叙モノだけど。2023/02/08

Inzaghico

8
収録されている作品は昭和3年から昭和35年のもの。読んでいると、時代が変わっていくのがよくわかる。そしてどれも人間の黒いどろりとした性が垣間見えるのが、ぞくりと怖い。「不思議な母」の語り手の母の、偏狭な視点で行ったり来たりしながらも、最後に最初の答えが正解だったというお話。ただ、正解に至るまでに身近な人を失うという代償を払う。最後の「お母さんは、決して気が狂ったんじゃないのだからね」という一文は、まったく反対のことを実は言っているのではないか。2022/09/26

マーロウ

4
同じ書名の国書刊行会ハードカバーの登録が無いためこちらで。 著者は、戦前戦後の怪奇幻想・猟奇趣味の探偵小説とは一線をかくした現実的な作風だったとのこと。 確かに主題は日常生活がメインであるが、各作品で一捻り効いていたり、語り口も読みやすく中々面白い。 兄妹の書簡のやり取りのみで構成される「偽悪病患者」が好き。2023/10/08

氷沼

3
前巻たる『偽悪病患者』と共に、楽しめた一冊。 収録作はどれも逸品揃いだが、中でも『烙印』『爪』『情鬼』、大下の代表作に挙げられることも多い『凧』、そして『危険なる姉妹』が良かった。 自分は決して「鬼」ではないので、いわゆる本格モノも好きだけど、こういう一捻り効いた犯罪小説風の探偵小説も好きだな。 このまま前巻から再読しても楽しめそうなくらい、楽しめた2冊だった。2023/12/05

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