内容説明
将軍徳川吉宗に呈した原本に最も近いと考えられる写本(早稲田大学図書館・服部文庫所蔵本)を底本とし、辻達也校注本を踏まえ、さらに詳細な校訂注を加えた『政談』校注本の決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
4
荻生徂徠の政治改革論。前半は反都市・反消費的な思想が全面に出ていて正直どうかと思いましたが、巻三「人の扱」での人間洞察は面白い。「一くせあるものに、勝れたる人多き物也」(220ページ)、「惣て御役人は隙になくて不叶事也。殊に上にたつ大役の人程、隙なくては成まじき事也」(229ページ)などは現代にも通用しそうな感じも。攷註は岩波文庫版への参照が随所にあって、このあたり読者にとっては不親切では。2017/08/30
YY
0
武士が経済に巻き込まれる中、いかにして身分など秩序を保つか。大変な問題に取りくんでいる。意外と語気が強いのが面白い。「政談」の内容はともかく、岩波文庫版は品切れなので「文庫版の注が有益だ」と注で書かれても困る人がいるのでは。まあそこまできちんと取り組もうと思う人は古書で入手するだり図書館で見るなりするだろうが。2012/05/04