内容説明
マナスは近隣の族長たちを従え、300万の大軍を率いて、大国クィタイへ挑む大遠征に発つ。途上の苦難、宿敵との死闘などキルギス軍の奮戦を豊かに謳いあげた大叙事詩、完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
46
大ハーン・マナス。彼の権力は今や絶頂。この巻で語られるのは大遠征。目指すはエセン・ハーンの治める大ベージン、迎え撃つは勇将コングルバイ。彼の父をマナスが平らげた因縁の相手。手に汗握る展開が続きますが、語りの調子に乗って一騎当千の勇士たちとベージンへの道を馳せる楽しさは格別です。最後は和睦成立で本巻終了。その後マナスの死が描かれ、彼の子孫へと物語は続いてゆくようなのに、それが追えないのは本当に残念! ただ、そのおかげで私のバートゥルたち、マナスと彼の勇士たちは永遠にキルギス山々や草原を駆けているのだけれど。2019/05/29
Oltmk
1
少年篇・青年篇で伏線があったマナス率いるキルギス軍のベージンへの大遠征が描かれ、一大クライマックスとしてマナスやアルマムベト達勇士の大活躍が描かれ勝利し和睦で終わりを迎えるが、ここまで来たならマナスやアルマムベト達が戦士し終わりを迎える小遠征までを見届けたかった気持ちになり、三部作が抄訳だったのは残念だった。マナス三部作の翻訳を担当した若松寛氏に続くモンゴル・テュルク系の英雄叙事詩の研究者は坂井弘紀氏しか聞いた事がないが、彼によってマナス全編の翻訳を期待した。2020/07/27