岩波科学ライブラリー<br> さえずり言語起源論 新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ

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岩波科学ライブラリー
さえずり言語起源論 新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ

  • 著者名:岡ノ谷一夫
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 岩波書店(2022/08発売)
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  • ISBN:9784000295765

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内容説明

ジュウシマツの歌には「文法」がある――これが転機をもたらす大発見だった.進化的な起源の異なる小鳥の歌が,言語進化の謎に迫るカギとなるのはなぜなのか.初版刊行から七年半,性淘汰起源説に相互分節化仮説が加わった.「言語の起源は求愛の歌だった」とする進化のシナリオを,苦労と喜びと興奮が満載の研究者人生とともに描く.

目次

初版まえがき
新版まえがき
電子版まえがき
1 小鳥の歌とヒトの言葉
小鳥の歌研究の進歩
音声コミュニケーションのいろいろ
小鳥の歌とヒトの言葉の共通点
歌学習の鋳型仮説
小鳥の歌とヒトの言葉の相違点
言語の起源と小鳥の歌
2 複雑な歌をうたうジュウシマツ
『雨の動物園』
ジュウシマツの歌と聴覚フィードバック
小西先生の指摘
歌の複雑さをどう記述するか
歌文法の発見
記号列から有限状態文法を抽出する方法
3 ティンバーゲンの理想
ティンバーゲンの四つの質問
神経行動学者と行動生態学者
神経行動学との出会い
鳥には大脳皮質がない?
うたうために生まれた
行動生態学との出会い
認知情報科学ってなんだ?
ジュウシマツの正体
4 ジュウシマツの歌と四つの質問
その一 進化
その二 メカニズム
歌制御の階層性をつきとめる(メカニズム)
歌の聴覚情報処理(メカニズム)
聴覚と発声の相互作用(メカニズム)
その三 発達
発達の過程で生ずる脳の変化(発達)
歌の可塑性(発達)
その四 機能
性淘汰(機能)
複雑な歌はメスの性行動を刺激するか(機能)
複雑な歌はメスの繁殖行動を刺激するか(機能)
メスは複雑な歌をうたうオスを選ぶか(機能)
5 四つの質問を超えて
歌の文脈と脳活動
コシジロキンパラのメスは複雑な歌を好むか
複雑な歌にかかるコスト
歌文法の進化的シナリオ
6 住環境と歌の複雑さ 台湾での野外調査
ディーコンのマスキング理論
歌の種認識機能
コシジロキンパラ個体群の違い
台湾での苦労話
7 氏か育ちか
里子実験
いいかげんなジュウシマツ、きまじめなコシジロキンパラ
里帰り実験
学習可能性と鋳型
学習の制約から歌の進化へ
8 歌は編集され学ばれる
自由交配実験
歌の分節化 DJをやるヒナたち
9 さえずり言語起源論 歌文法から言語の文法へ
文法の性淘汰起源説
相互分節化仮説
さえずり言語起源論
電子版あとがき
イラスト=川野郁代

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

299
読みやすい内容にまとめられているが、この分野の先端的な研究と、これまでの歩みとを紹介する本格的なもの。著者はこれまで主に鳥(十姉妹)のさえずりを研究してきた(ハダカデバネズミなども)。結論的に言えば、言語の起源は性淘汰にあるのではないかという仮説を、鳥のさえずりから導いたもの。もちろん、そこに大いなる飛躍があることを著者は重々承知しているが、一つの可能性を開くものであることは確かだ。研究成果そのものも興味深いが、同時にそこにいたるまでの若き研究者たちの姿勢と努力もまた読んでいて実にすがすがしい。2017/01/07

翔亀

45
キビタキの囀りに夢中だったので一気読み。こちらは飼鳥のジュウシマツ(十姉妹)だが、その囀りを徹底的に研究して驚くべき結論を導く。動物の研究は、脳科学ともいわれる神経行動学と、行動生態学に分離し近親憎悪の状態だという。前者は脳と行動の関係を解剖して分析する室内派。後者は、フィールドに出てなぜ鳥がそんな行動をとるのか観察し続ける。著者は多くの研究機関を渡り歩き、融合する。そして出た結論が、「歌、すなわち囀りが、言語のもとになった」ということ。20年の十姉妹の色々な実験と観察から積み上げられる過程が圧倒的だ。 2015/05/10

へくとぱすかる

35
鳥のさえずりが、直接に人間の言語と比較できるわけではない。しかし、もっと大づかみな点からのアプローチであり、納得できる研究である。研究対象がジュウシマツであることがおもしろい。天然には存在せず、250年の歴史しかない鳥だが、入手が簡単で飼育しやすいことも、研究対象として絶好だったに違いない。研究過程をなぞったドキュメントとして書かれていて、現場の空気が伝わってくるようだ。2015/11/11

そふぃあ

21
歌から言語が発生した って言ったらアレだけど、文法と意味は別々に発生して、ある時点で融合して言語になった って言えば画期的な仮説 かも。2014/07/07

メイロング

7
一気に専門濃度が上がった。なにが知りたいのか、そのためにどう実験したらいいのか、研究者ははっきりさせて手を動かす当たり前の事実が妙に新鮮。私の理解力のなさから、ライト版の「言葉はなぜ生まれたのか」以上の発見ができない。ジュウシマツは歌のレベルが一定を超えるとメスを無視して孤高の音楽活動に入る話が聞きたかったんだけど。2015/10/28

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