内容説明
ジュウシマツの歌には「文法」がある――これが転機をもたらす大発見だった.進化的な起源の異なる小鳥の歌が,言語進化の謎に迫るカギとなるのはなぜなのか.初版刊行から七年半,性淘汰起源説に相互分節化仮説が加わった.「言語の起源は求愛の歌だった」とする進化のシナリオを,苦労と喜びと興奮が満載の研究者人生とともに描く.
目次
初版まえがき
新版まえがき
電子版まえがき
1 小鳥の歌とヒトの言葉
小鳥の歌研究の進歩
音声コミュニケーションのいろいろ
小鳥の歌とヒトの言葉の共通点
歌学習の鋳型仮説
小鳥の歌とヒトの言葉の相違点
言語の起源と小鳥の歌
2 複雑な歌をうたうジュウシマツ
『雨の動物園』
ジュウシマツの歌と聴覚フィードバック
小西先生の指摘
歌の複雑さをどう記述するか
歌文法の発見
記号列から有限状態文法を抽出する方法
3 ティンバーゲンの理想
ティンバーゲンの四つの質問
神経行動学者と行動生態学者
神経行動学との出会い
鳥には大脳皮質がない?
うたうために生まれた
行動生態学との出会い
認知情報科学ってなんだ?
ジュウシマツの正体
4 ジュウシマツの歌と四つの質問
その一 進化
その二 メカニズム
歌制御の階層性をつきとめる(メカニズム)
歌の聴覚情報処理(メカニズム)
聴覚と発声の相互作用(メカニズム)
その三 発達
発達の過程で生ずる脳の変化(発達)
歌の可塑性(発達)
その四 機能
性淘汰(機能)
複雑な歌はメスの性行動を刺激するか(機能)
複雑な歌はメスの繁殖行動を刺激するか(機能)
メスは複雑な歌をうたうオスを選ぶか(機能)
5 四つの質問を超えて
歌の文脈と脳活動
コシジロキンパラのメスは複雑な歌を好むか
複雑な歌にかかるコスト
歌文法の進化的シナリオ
6 住環境と歌の複雑さ 台湾での野外調査
ディーコンのマスキング理論
歌の種認識機能
コシジロキンパラ個体群の違い
台湾での苦労話
7 氏か育ちか
里子実験
いいかげんなジュウシマツ、きまじめなコシジロキンパラ
里帰り実験
学習可能性と鋳型
学習の制約から歌の進化へ
8 歌は編集され学ばれる
自由交配実験
歌の分節化 DJをやるヒナたち
9 さえずり言語起源論 歌文法から言語の文法へ
文法の性淘汰起源説
相互分節化仮説
さえずり言語起源論
電子版あとがき
イラスト=川野郁代
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翔亀
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