角川新書<br> 噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる

個数:1
紙書籍版価格
¥1,056
  • 電子書籍
  • Reader

角川新書
噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる

  • 著者名:石弘之【著者】
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • KADOKAWA(2022/08発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784040824390

ファイル: /

内容説明

第一章 富士山は噴火するのか
1.火山噴火の集中期
災異改元でリセット
富士山噴火をめぐる「予知」

2.地球は火山でつくられた
古代文明を育んだ火山
地球の構造は半熟タマゴ
プレートの移動が引き起こす噴火

第二章 「火山の冬」と気候変動

1.「火山の冬」の原因は
氷床コアが語る過去の気候
寒冷化のメカニズム
実験場になった火山

2.535年の歴史ミステリー
ナゾの超弩級噴火
共和制ローマの最後
日本の異変と仏教伝来
中国に降った黄色い砂塵

3.迫りくる大飢饉
中世気候異常期
17~19世紀の噴火のあたり年
島民の2割が犠牲になったラキ山
寒波が招いたフランス革命
山麓を壊滅させた浅間山
天明の大飢饉

第三章 九州南部の縄文文化を崩壊させたカルデラ

1.巨大カルデラの島
カルデラが重なる九州
鬼海カルデラの巨大噴火
追われた先進縄文人
壊滅した縄文文化

2.文明を崩壊させた火山噴火
出エジプト記
ミノア噴火
中国の王朝の衰退
アトランティス伝説

3.タイムカプセルのヴェスヴィオ山
にぎやかな国際都市
ポンペイ最後の日
生々しい犠牲者の姿

第四章 悪夢の時限爆弾―破局噴火

1.破局噴火とは
爆発指数で測れない被害
過去の破局噴火
今後起きるかもしれない破局噴火

2.20世紀の火山災害と未来の危険
米国史上最大の噴火
報道陣を巻き込んだ雲仙普賢岳
先住民を追い詰めたピナトゥボ噴火
カナリア諸島のラパルマ島
海底噴火と軽石騒動
ニオス湖――静かな噴火

3.生態系は噴火からどう回復したか
救われたジャワサイ
セントヘンレンズ噴火の教訓
海鳥の楽園「西之島」

4.「予知」か「予言」か
御嶽山噴火をめぐる訴訟
成功した噴火予知
レジリエンス社会の構築

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

114
火山噴火に伴う寒冷化現象は断片的に知っていたが、地球物理の視点も加えて歴史との関係を体系的に一望できる。地球は繰り返される火山噴火で形成されたが、そこで生きる人間は噴火による「火山の冬」による異常気象で何度も飢餓や災害に見舞われ、文明や国家が興亡し、革命や戦争を繰り返してきた。噴火は確かに予知できないが対処できる準備を整えるのは可能なのに、世界の活火山の7%が集中する日本には国の一元的な監視組織すらないという。東日本大震災で露呈した想定外の事象を考えたくない、責任を負いたくない日本人と政府への警告の書か。2022/10/30

kinkin

105
富士山噴火が起こるかが冒頭に書かれている。いずれ起こると思うがそれがいつ起こるのか、コボはどれくらいなのか、それは誰にも分からない。江戸時代の宝永の大噴火があったのでそろそろではというなんとももどかしいことを唱えることしか出来ない。自身にしてもそうだ。地球が出来て40数億年、100年200年など一瞬の出来事だ。他にも世界で起きた火山の噴火災害についてが書かれている。ベスビオ火山。ピナツボ火山、セントへれず火山他。図書館本2022/12/20

きみたけ

65
著者は元朝日新聞記者で東京大学大学院・北海道大学大学院教授の石弘之先生。火山の噴火とその人類史への影響についてまとめた一冊。火山噴火後の寒冷化(火山の冬)が飢饉を招き、世界各地で文明を崩壊させたその足跡を解説しています。日本でも喜界カルデラ噴火によって、当時九州南部にいた海洋系先進縄文人たちが壊滅したといいます。富士山の噴火についての考察とあわせて、とても興味深い内容でした。2023/06/16

tamami

55
長年地球環境問題に取り組んできた著者が、世界の火山と人類の関わりについて、様々な形で記録に残された大小の災害を中心にまとめたもの。火山の噴火と言えば、イタリアのヴェスヴィオ火山や近年の御嶽山の噴火が思い浮かぶが、人類史という観点からは、大変な数の噴火災害が記録されている。著者は、火山灰や噴石、溶岩流や火砕流といった直接の災害ばかりでなく、「火山の冬」がもたらす気候変動と、その結果引き起こされる民族の移動や文明破壊など、火山の噴火が世界の歴史を作ってきた、といってもおかしくないという。具体的には、西暦5352022/11/11

yyrn

27
火山の大噴火による想像を絶する、九州全体が壊滅するような破局的な大爆発でなくとも、上空高く吹き上げられた火山灰が成層圏に長期間留まり、地球規模での寒冷化や大飢饉を誘発し、民族が大移動したり、植生物層が激変して文明が滅んだり、歴史さえも動かしてきた事実を、世界各地の様々な検証結果から教えてくれる本。あまりの惨状の数々にため息しか出ない。最後に回復力への言及もあるが、「人新世」が取り沙汰されるほど自然環境を大きく改変してきた人類が、どこまで自然の脅威に抗えるのか?2024/05/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/19922740
  • ご注意事項

最近チェックした商品