脱成長と欲望の資本主義

著者名：丸山俊一【著】/ＮＨＫ「欲望の資本主義」制作班【著】

東洋経済新報社（2022/08発売）

• ISBN：9784492371343

内容説明

セドラチェク×斎藤幸平激論！
ズボフ、ミラノヴィッチが警鐘

格差や気候変動などの問題は、資本主義の枠内で解決可能なのか？
中国の「政治的資本主義」はどう変化し、国際社会にどのような影響を与えるのか？
「監視資本主義」とは何か？　データ主導の資本主義にどう立ち向かうべきか？

減速から回復へと舵を切ろうとする中、「共産主義も経験した奇才アナリスト」セドラチェク、「気鋭の経済思想家」斎藤幸平、「格差研究の世界的権威」ミラノヴィッチ、「監視資本主義の提唱者」ズボフと共に、社会・政治・文化などの関わりから資本主義を再考し、社会構造全体を捉え直す。

大人気シリーズ！　緊急「特別編」も再編
NHK「欲望の資本主義2022 成長と分配のジレンマを越えて」「欲望の資本主義 特別編 『生き残るための倫理』が問われる時」未公開部分も多数収録

［主な内容］
はじめに　「成長至上」と「脱成長」の狭間にある問い
第1章　「脱成長」を可能にするのは、脱成長コミュニズムか緑の資本主義か
気鋭の経済思想家・斎藤幸平×共産主義も経験した奇才アナリスト・セドラチェク
第2章　資本主義だけが残った世界
格差研究の世界的権威・ミラノヴィッチ
第3章　民主主義を支配する監視資本主義
デジタル革命の罪を問う社会心理学者・ズボフ
おわりに　資本主義と民主主義の「脱構築」

目次

はじめに　「成長至上」と「脱成長」の狭間にある問い

第１章　「脱成長」を可能にするのは、脱成長コミュニズムか緑の資本主義か
　気鋭の経済思想家・斎藤幸平×共産主義も経験した奇才アナリスト・セドラチェク

第２章　資本主義だけが残った世界
　格差研究の世界的権威・ミラノヴィッチ

第３章　民主主義を支配する監視資本主義
　デジタル革命の罪を問う社会心理学者・ズボフ

おわりに　資本主義と民主主義の「脱構築」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ブロッコ・リー]

齋藤幸平氏とセドラチェク氏との対談がかみ合っていない。前者が資本主義は嫌いだから止めるべき。現にコロナ対策の時にロックダウンできたじゃん？気候変動も待ったなしなんだから同じく（何をどう同じくなのかは言っていない）止めれば良い。後者は共産主義時代の方がよほど環境にも人権にも災厄だった事実を挙げて、共産主義が回答ではないと主張している。この前、NHK100分de名著のヘーゲル「精神現象学」解説で齊藤先生が強調していたaufhebenなんざかけらもない、まるで論破したいがごときの勢いだ。

2023/08/18

[はるわか]

世界規模で共通する問題の解決策を見つけるのはいつも資本主義国／グリーン成長は現代の資本主義が謳う神話。北欧が他の西欧諸国よりも環境負荷が高いというデータもある。成長と環境は依然としてトレードオフの関係にある／レアアースなど資源はグローバル・サウスの自然を破壊することで生み出されている。グローバル・ノースの資本主義がグリーン成長を目指すと、グローバル・サウスの人々から搾取することになる。絶えざる商品のモデルチェンジは環境には最悪で、幸福にとっても無意味。

2023/10/03

[入道雲]

なかなか言い表すことが出来ない。すっかり経済の大きな仕組みに組み込まれ生活しているなかで、全体の行方を捉えるのは至難。初版から約１年後に読んでいるが、予想通りにも見えるし、予想外にも見えることもある。不確実性の闇の中を手探りで歩き、隣の手をつないでいる人が何者なのか分からないが、進まなければならないのが今の我々なのではないか。

2023/08/15

[ぱぱみんと]

経済政策の中心にいる人には、拡大する深刻な格差に苦しむ人たちの姿がまるで見えていないことがよくわかります。そのぶん、斎藤幸平さんの論調が際立って見えてきます。でも、斎藤さんの理想とする社会に行きつくには、革命でも起こさないかぎり無理なんじゃないか、と思ってしまいます。

2024/04/08

[Oki]

斎藤幸平はわざと奇をてらうようにしてコミュニズムという言葉をつかっているのか。 前々から、コミュニズムという言葉を使わない方がいいのにとずっと思っていたが。 コミュニズムをソ連と同一視するなと言っても、そんな無理な。大衆はどうしてもスターリンや毛沢東を思い浮かべてしまう。 「強制」に対する許容度が、セドラチェクよりだいぶ大きそうな斎藤幸平ならなおさら、コミュニズムという言葉を戦略的にも使わない方がいいような。 すべては線引きの問題なので、株式投資（資本）を違法としないものは全部、資本主義でいいような。

2024/02/14