内容説明
ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで行われた最終講義を書籍化。
社会主義、コミュニズム、カウンターカルチャーはなぜ失敗したのか。
資本主義のオルタナティヴは本当に存在しないのか。
ポスト資本主義の世界における「欲望」と、左派加速主義が示そうとした資本主義のその先……
マルクス、フロイト、マルクーゼ 、ルカーチ 、リオタール 、ドゥルーズ&ガタリを架橋しつつ、学生たちの対話から、現代のディストピアから脱出する道を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
原玉幸子
28
「そうだよなぁ、マルクスは経済学でなくて哲学だよなぁ。今言う経済学も社会学もそれなりの学問ぶっているけど、実は言い方や整理の手法が違うだけであって、全ては哲学なんだろう。だから共産主義も冷戦もサブ(ポップ)カルチャーも新自由主義もサルトルもジジェクも仕事もBIも、こうやって語れるのは…凄い」。マーク・フィッシャーなる人間を取り上げで講義メモを本にした出版社も凄い。知的興奮と言うより受け手の読者が平伏す知的感動、もっと網羅的に本を読み深く洞察するようにします。ごめんなさい、許して下さい。(◎2024年・春)2024/04/23
塩崎ツトム
16
講義は第5回で終わる。マーク・フィッシャーが自ら命を絶ったためだ。ぼくらは資本主義が終わる前に、フィッシャーの終わった世界を生きる羽目になってしまった。ここまで社会に影響を与える思想家がいたのか!とぼくが認識したときにはもう、ぼくは彼の亡霊を追うことしかできなくなっていた。それはともかく、資本主義の体系について、否応なく考えさせる。資本主義の本当の奴隷は、資本家たちではないか?彼らほど、資本主義のない世界を認識できない連中だということは間違いない。(つづく)2023/05/17
chiro
4
「資本主義のリアリズム」の果てに辿り着いたポスト資本主義の欲望として捉えうる著者の学生との間で様々な思想家を題材に議論が交わされている著作。加速主義を標榜するピーターティールらの主張のべースとなっている著者の主張からは少し緩やかなものになっている様に感じたが、学生との対話という形がむしろそうした考察を重ねることから新たな思考を見出そうとしたのかもしれない。2023/04/22
静かな生活
4
フィッシャーの邦訳の中ではかなりとっつきづらいひねりにひねった現代思想講義。なんとなくだが、藤本たつきが気になってきた2023/01/08
Tom
3
とても面白かったのに内容をまとめられない。そもそもまとめられるようなものじゃないのかもしれない。本書はマーク・フィッシャーの講義を書籍化したものだが、途中でフィッシャーが逝去してしまったために全15回の予定の講義のうち5回までしか収録されていない。それでも、ポスト資本主義についてとても刺激的な考察に溢れている。カウンターカルチャー音楽には疎いので、これをきっかけに聴いてみたい。まずはフィッシャーが亡くなる直前に残したミックスリストからはじめよう。2022/09/04