内容説明
「この島には異世界がたくさんあるんです。それぞれ別々の場所にあって、複雑に重なり合ってる。
けれども、どの世界もふつうの人間には立ち入ることができないんです」 (本書より)
オカルト雑誌<オーパーツ>の編集者である野々村舞は、伝説や実話怪談を集めて記事にするため、世界自然遺産・屋久島へ飛んだ。
ツアーガイドの狩野哲也とともに、“河童博士”や口寄せを行う巫女に会った後、屋久島最高峰の宮之浦岳縦走へと向かった舞。
彼女はそこで、不思議な世界に迷い込んでしまう――。
現実と虚構が交錯する、屋久島山岳怪異譚。
大藪春彦賞作家・樋口明雄の最新刊!
カバー装画=山田章博
■著者について
樋口 明雄(ひぐち・あきお)
1960年、山口県生まれ。
山梨県北杜市在住。山梨県自然監視員。
2008年に刊行した『約束の地』(光文社)で、第27回日本冒険小説協会大賞および第12回大藪春彦賞を受賞。
13年には『ミッドナイト・ラン!』(講談社)で、第2回エキナカ書店大賞を受賞。
南アルプス・北岳を舞台とした山岳小説「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズのほか、ノンフィクション『北岳山小屋物語』(山と溪谷社)など著作多数。
『還らざる聖域』(角川春樹事務所)は、本書と登場人物がクロスオーバーする姉妹編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
122
屋久島は異界への入り口?の一冊。舞台は自然はもちろん、伝説等も豊富な世界自然遺産の屋久島。そこでの数々の不思議な出来事は何を意味するのか…なんともワクワクが止まらない。明らかにこの世のものではない存在との遭遇、時代の最先端を行く仙人との遭遇は、非現実的ながらもこの地なら不思議ではない、微かな現実味を感じられるのが良い。自然界が持つチカラ、息づかいがそこかしこで異界への入り口を開いて待っているかのよう。次第に明らかになっていくこの地を訪れた意味もまた心くすぐる。仙人がまた良いスパイス!ラスト、ピース!2022/09/21
タイ子
87
シリーズ関係なく単作で読める。世界自然遺産の屋久島を舞台に怪異の物語。信じるも信じないも読者次第。オカルト雑誌の記者・野々村舞が屋久島の取材に向かう。出迎えたのはツアーガイドの狩野と大学の友人・夕季。彼女は屋久島の山岳救助隊員。屋久島に伝わる都市伝説、それが舞の身に降りかかってくる。現実と虚構が交錯する異世界に導かれる一行。導くのは山姫と呼ばれる魔界の鬼女。途中、仙人も登場してほのぼの気分。屋久島を護るため闘う現代と古のヒーローたち。SF映画を観ている感覚。この世界観好きです。ラストの遊び感覚が最高!2022/09/06
ゆみねこ
70
屋久島へ飛んだオカルト雑誌編集者の野々村舞は、ツアーガイドの狩野哲也と共に屋久島最高峰の宮之浦岳縦走へと向かったが、そこで不思議な世界に迷い込んでしまう。うーん、オカルトだけどそんなに怖さは感じない。何より怖いのは生きた人間だと思うので😅 K9シリーズの方が好みです。編集部の新人・六合津沙樹の存在が不気味なので、続編ありなのかも?2022/10/15
アルピニア
47
屋久島を舞台にしたファンタジー。千年に一度の厄日に奥岳に棲む妖怪「山女」が禍々しきものを蘇らせようと動きだす。引き寄せられる高貴な血を引く者たち。複雑に重なり合う異界。立ち向かうトイダシドン(巫女)。私が「妖怪を見る力をあげる」と言われたらどうするだろう。見てみたいような、怖いような。タネさんと依里さんの活躍をもっと見たかったな。現代的な三十郎さんにはクスり。終章でゾワリ。これは続編アリということか・・。2023/03/25
あっ!chan
38
作者同様長年憧れていた屋久島に行ったのが四年前…その時の感激を改めて思い出させてくれたリアルな世界と、妖怪が跋扈するファンタジーというかホラーの世界の闘いが織りなすストーリー。K-9シリーズとは違った気軽に読めるチープなテイストで、これはこれで面白かった。空想の世界は何でもありだから許せるけど、リアルな世界で50kgのザックを背負って妖怪から逃げるために全力疾走…やっぱりこれは無いよね!でもまた屋久島に行きたくなったし、シリーズ1があるみたいだから読んでみた〜い!2023/01/07
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