内容説明
後周の世宗・明の永楽帝ら、虐殺を重ねた支配者たち。安禄山・馮道ら、権力に執着した裏切者たち。王安石・梁啓超ら、独り善がりな改革者たち。李卓吾・康有為ら、過激な教えを説いた思想家たち。12人の生涯をたどり、彼らが「悪の道」に堕ちた背景を解き明かす。現代中国の悪党も射程に入れた、圧巻の1400年史!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kk
30
図書館本。唐太宗から梁啓超に至るまで、中国史に大いなる悪名を轟かせる12人。そんな彼らの強烈な個性を描きながら、彼らが全人格的に取り組まざるを得なかった、それぞれの時代の課題や社会的挑戦を活写。ひいては中国という巨大で多元的な存在が抱える宿痾に論が及びます。平易でとっつき易い語り口ながら、各時代の目鼻立ちや中国社会不易の特徴を端的に示してくれているように感じられ、とても感心してしまいました。ところで、本書の王陽明のくだりを読んでいて、思わず『隠蔽捜査』の竜崎警視長を連想してしまったのはkkだけ?2023/08/25
サケ太
18
“悪党”たちが中華帝国の中で、創り上げたもの。列伝で評価された“悪党”たちを客観的な視点を持って、実像を明かしていく。知っている人物から、知らない人物まで12人。個人的には安禄山、永楽帝は改めて知ると非常に面白い。”中華”の視点では大逆人の安禄山が自立した聖人となる。甥を殺し簒奪した永楽帝は、父帝の後継者足らんとしたが、それはモンゴルで「回帰」する結果を生んだというのは面白かった。2022/11/01
日・月
17
“悪党”として帝位簒奪者や学問異端者が紹介されています(李世民~梁啓超)。筆者の「日本人は愚直を美徳と見なしがちだが、君主・為政者としておよそふさわしい資質ではない」というスタンスで、一般論と違う毀誉褒貶も論じています。ゴチャゴチャした唐末から宋初における節度使たちの情報と 、清末にかけて「郷紳」がどのように社会で成長したかを知り得たことが収穫。陽明学左派の李卓吾は、イヤな奴で自虐か開き直りの天才か…老齢になっても士大夫らしからぬ起居で顰蹙を買っていたというが… 何だか、実際見てみたい。2024/10/22
ジュンジュン
17
中国は歴史の国と言われる。古来より膨大な記録を残してきた。但し、大きな偏りがあるという。列伝=個人の伝記で歴史を語るという手法だ。おかげで、英雄豪傑が活躍する血沸き肉躍る物語を楽しめる反面、社会制度の実態が見えてこない。つい社会が停滞しているのかと錯覚してしまう。著者は列伝を紡ぎながら、その背景を成す時代相を活写しようとする。おかげで難解だ(笑)。「良莠不分」(良い苗と悪い雑草が入り混じって分けられないの意)な社会、中国。そんな広くて多様な人々が暮らす社会では”良い人”では務まらない。中国史は悪党の宝庫。2022/10/07
さとうしん
16
実の所「悪党」を軸にするには無理のある内容。このテーマで書くなら、もっと取り上げるのにふさわしい人物があるように思う。これに対して同じ時代の二人一組の評伝を基本とする構成はそれなりにうまくいっている。評伝といっても本題に入る前の解説が長いので、結果的に(あるいは意図的に?)隋唐から民国初期までの中国通史のようにもなっている。明代の部分は同じ著者の『明代とは何か』のダイジェストのようになっている。 2022/08/31
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