中公文庫BIBLIO<br> 詩経 中国の古代歌謡

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中公文庫BIBLIO
詩経 中国の古代歌謡

  • 著者名:白川静【著】
  • 価格 ¥1,047(本体¥952)
  • 中央公論新社(2022/08発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122041301

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内容説明

古代人の豊かで鮮烈な精神を伝える、中国最古の詩歌集。儒教の聖典として長く特殊な解釈にさらされ失われてきたこの躍動的な歌謡の世界を、成立基盤の類似した『万葉集』との比較の観点から、見事に復活させた。  337ページ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りー

20
古代から現代に受け継がれている「詩」は、数多の時代を経る中で、政治・道徳的な側面から歪んだ解釈をされた。「原始の歌謡は、本来呪歌であった」という白川氏の視点から「詩」を読み直した本。例えば「束薪(柴)を水に流す」は水占い、「采緑・采藍(若菜を摘む)」は想う人への魂振り、玉や衣服を歌うことは衣服を身に付けている人との霊的な交渉を示す…といった古代における基本的な思考。これらは中国単独ではなく万葉以来の日本にも共通すること、と、万葉集との比較もされていて興味深い。逆に一般的な解釈の「詩経」も読みたくなった。2020/08/10

roughfractus02

7
思いを直接言わずものに託す場合、伝える相手は人間ではない。祭祀や征旅では鳥獣に、結婚では束薪や魚に、誘いでは果物に、悲しみでは衣裳や玉に託されるのは、抽象的な世界や宇宙への思いである。『詩経』の多くを占める「興」という詩のスタイルは、未来への願い(占い)を山や川や空や生き生きとした自然に遍在する神的存在への呪歌である、と著者は捉える。変動する世界を統御しようと発展するのが文明なら、著者は呪歌にその萌芽を見出す一方で、自然から独立した閉域を作る国家(城市)以前に自然と交流していた古代人の姿を『詩経』に見る。2020/12/19

駒場

1
説話や儒教のフィルターによって歪められてしまった「詩経」を、素朴な古代歌謡として見つめ直し、古代中国の祭礼、庶民の暮らし、貴族社会なんかを解説しつつ、万葉集と比較しつつ解釈するという本だった。さすが白川先生というべきか、日本語訳が美しく、読みやすかった。漢文の素養がないので読むのに時間がかかってしまったが、もう一度じっくり読みたくなる良書だった2011/06/23

ヴィクトリー

0
万葉集との類似的な解釈をされているところもあるが、今のところそれが、推測の域にとどまっているところが気になる(氏族社会の崩壊、と言うことが、習俗の類似に100%つながるのか?)。著者の漢字の読込みの深さから、かなりの説得力を持つものと思いたいが、恐らく、実証は困難であろう。それをするには新たな史料の発見を待つしかないのかも知れない。春秋の時代でさえ、解釈の誤りが起こっているようなので、時の流れの残酷さを感じざるを得ない。(既に同著者による詩経雅頌を読み始めているので、感想が混ざってるかも知れません)2016/06/29

大臣ぐサン

0
詩経ってやつは五経の一つってことで何だか小難しくて無味乾燥なイメージだったのだが、そうか、詩って元々音楽なんだ。古代の歌謡からその時代を生きた人の感情が甦る。恋愛の歌とか、生活が苦しくて生きていけないとか、切実な生の表現なんだなぁ。時代によって表現方法が変わっても、人間の感情というものはいつの時代も変わらない。芸術の真価は普遍性にある。そんなことを再認識させる白川静の慧眼はやはりすごい。2012/10/08

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