内容説明
首屋敷と呼ばれる空家の地下室にたたずむ、不気味に着飾られた人体模型。忍び込んだ少年がその胸元に耳を押し当て聞いた幻妖と畏怖の12の物語。妻の胎内に悪魔が宿っていると言われた夫は……(「邪眼」)。鋭敏な嗅覚を持つ女性を襲う異臭(「はなびえ」)。盗聴が趣味の男が壁ごしに聞いた優しい女の声の正体は…(「耳飢え」)。人面瘡評論家の私を訪ねてきた男のおぞましい秘密(「膝」)。眼、鼻、腕、脚、乳房、性器。愛しい身体が恐怖の器官に変わる甘美と戦慄――稀代の才能が紡ぐホラー小説の極致! ※1995年発売の集英社文庫版から、ルビの修正などを加えた新版です。重複購入にご注意ください
目次
プロローグ 首屋敷
邪眼
セルフィネの血
はなびえ
耳飢え
健脚行 ―― 43号線の怪
膝
ピラミッドのヘソ
EIGHT ARMS TO HOLD YOU
骨喰う調べ
貴子の胃袋
乳房
翼と性器
エピローグ 首屋敷
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nuit@積読消化中
60
【日本の夏は、やっぱり怪談2023年】〈其の一・和編〉参加中です。積読本消化月間。中島らもさんのホラー短編集。懐かしさもありつつも、やっぱり面白い作家さん。らもさん限らず、90年代近辺の日本の怪異譚は味わい深くて、なんだか個人的にはツボです。実際は文庫ではなくて単行本で読みました。2023/07/21
つばめ
51
らもさん初読み。人間の眼・鼻・腕・脚など12の部位にまつわるホラー短編集。無駄なく簡潔で怖いという感想。各話、語り出しはグッと引き寄せておいて、終わり方はどう捉えるか考える余地を残している所が面白くもあり怖さを掻き立てるでもあり。個人的には『セルフィネの血』と『貴子の胃袋』が印象に残ってる。前者はラストがエグすぎてどう考えてもバッドエンドにしか見えないし、何より海の中の生き物の不気味さが。後者は菜食主義に対してじゃあ植物は同じ命じゃないの?という問いからの暴走。SFちっくな話もあり、面白かった。2023/05/01
優希
46
おどろおどろしいホラー短編集でした。バラエティ豊かな作風ではありますが、終わり方は全てシュールです。ホラーでもらもさんらしさが味わえました。2022/08/03
kum
27
1995年に刊行されたものの改訂版。首屋敷で人体模型の胸元に耳を寄せる少年から始まる、おどろおどろしいホラー短編集。ギャーとのけぞるものから気持ち悪いもの、笑うしかないものまで、バラエティ豊か。夏だしと思って久しぶりにホラーを読んでみたものの、お腹いっぱいでしばらくはいいかなというのが正直なところ。2022/07/31
ぜんこう
22
もしかしたら改訂前の95年刊行の本を読んだかもしれないけど…。ホラーなのかもしれないけど中島らもさんの博識に感心させられ、そんなおどろおどろしくはない。各話の最後の数行が秀逸。2022/10/09