内容説明
語り継ぎたい昭和軍人たちの遺書のことば
日本人とは、国とは、家族とは何か――太平洋戦争に散った二十八人の軍人の遺書をもとに、各々の人物像、死の歴史的背景へと迫る。
解説・阿川弘之、梯久美子
※この電子書籍は1997年8月に刊行された文庫の新装版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
30
28人の軍人の遺書と、それにまつわる著者の所感が述べられたもの。当然のことながら全員の自決に肯定的にはなれなかった。終戦後特攻出撃した宇垣纏には以前から嫌悪感しかなかったが、今回もそうした感覚は覆しようがなかった。22人の部下を道連れにせず、自分一人で自決すればよかったじゃんとしか思えない。未だ自我を持たないであろう幼い子供を道連れにする自決も決して許せない。しかし、涙なしには読めない人物達もいた。上原良司、大田実、山下奉文である。上原は著者をして「国民的熱狂が何を生むのかの教訓として、永遠に考えつづけて2023/06/24
鐵太郎
16
単行本として1995/1に刊行され、1997/8に文庫化され、著者逝去後の2022/8に新装版として再刊行されたもの。読んでいなかったことに気づいて開いてみて、伊藤整一提督の長女夫妻への遺言に言葉を失いました。国定謙男海軍少佐とか、その死生観と最期にどうしても納得できない人もいるが、(一人を除き)あの戦争の中で死んでいった男たちの生きざまと言葉は重すぎます。特に不本意な中で毅然として死を迎えた方々について。阿南惟幾大将のあの言葉の意味について、初めて納得できる説明を得られました。忘れてはいけない歴史です。2022/10/13
文太
6
海軍、陸軍の中心。指揮官や参謀、大臣などの遺書を集めた作品。有名どころも多く、知っている人も何人かいた。徴兵された兵士ではなく、自ら軍人になることを選び、そして大戦争の指揮をとった人物達は何を想い死んだのか。現在の価値観では相容れぬものも確かにあるが、だからといって批判もできない。彼らは信念を持ち、立派に職務を全うしようとし、最期を迎えた。ほんの少しだけでも彼らの考え方や信念に触れられて良かった。2023/08/28