内容説明
オーケストラを指揮したい! 東京藝大で指揮者修業に奮闘するイワキとナオズミ。師と出逢い、ケンカと失恋を越え、ついに演奏会の日がやって来た! 名エッセイストが綴る、涙と笑いの傑作藝大青春記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まこみや
49
やはり青春記ってこうでなくっちゃ。そのシュトルム・ウント・ドランクは傍目で見れば、迷惑千万な馬鹿騒ぎであり、抑制を失った自意識の過剰な演出に見える。しかし青春の只中にいる当人は、動揺する自意識と曖昧な社会的立場の狭間で、むしろ辛く苦しく憂鬱な気分に沈むことが多いと思われる。だからこそ「馬鹿」も「失恋」もたっぷり経験することに意味がある。嵐に翻弄されながら1つのことにのめり込むことこそ、正に“青春”の特権なのだから。そしてその船出にあたりナオズミのような友人がいればこれ以上の僥倖はないと言えるのではないか。2022/06/12
ムーミン2号
11
もとは1987年に出版されたものだが、今回で3社目の出版となる。そのくらい面白いエッセイだということだろう。指揮者・岩城さんのこのエッセイ集は読み始めたら面白くて止まらない。一方で講談社文庫で解説を書かれた林光さんが指摘されるように、音楽やあるいはその場の様子、情景などを文章で表現するチカラはスゴイ。それだけに、ハチャメチャな青春時代が疾走感Maxで描かれていて爽快でもあり、印象深くもある。いくつかのエピソードは決して忘れられそうもない。難しい音楽理論はゼロなので、誰でも読める点もスゴイ。2022/02/16
カモノハシZOO
9
とても素敵なお話しでした。2022/11/01
マダムぷるる
9
青春記らしい青春記。笑えるけど、バンカラだけどやる気に満ちてなんでも怖いもの知らずに突き進む姿、羨ましくもありました。子どもの頃、毎週楽しみにしていたオーケストラがやってきたの山本直純先生とコーヒーのCMの岩城宏之先生。それを取り巻く渡邉暁雄先生を始めとする天才たちが闊歩する上野の森をイメージして楽しい読書タイムでした。類は友を呼ぶっていう言葉をずっと思っていました。山本直純の指揮、もう一度みたいなあ2022/07/04
あこ
8
勝田文の表紙に釣られて買ったら大正解! 1ページ目で、あ、この本絶対面白いぞと分かってしまった。大物指揮者の学生時代の思い出を綴ったものなんだけど、個性的な人が出てくる出てくる…数行に一回笑ってました 2022/04/01