韓国文学の中心にあるもの

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韓国文学の中心にあるもの

  • ISBN:9784781620930

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内容説明

なぜ、韓国文学はこんなに面白いのか。なぜ『82年生まれ、キム・ジヨン』は、フェミニズムの教科書となったのか。世界の歴史が大きく変わっていく中で、新しい韓国文学がパワフルに描いているものはいったい何なのか。その根底にあるのはまだ終わっていない朝鮮戦争であり、またその戦争と日本は深くつながっている。ブームの牽引者でもある著者が、日本との関わりとともに、詳細に読み解き、その面白さ、魅力を凝縮する。

(「まえがき」より)
『最近日本で、韓国文学の翻訳・出版が飛躍的に増えている。この現象は、読者の広範でエネルギッシュな支持に支えられたものだ。読者層は多様で、一言ではくくれないが、寄せられる感想を聞くうちに、読書の喜びと同時に、またはそれ以上に、不条理で凶暴で困惑に満ちた世の中を生きていくための具体的な支えとして、大切に読んでくれる人が多いことに気づいた。(中略)韓国で書かれた小説や詩を集中的に読む人々の出現は、ここに、今の日本が求めている何かが塊としてあるようだと思わせた。それが何なのか、小説を読み、また翻訳しながら考えたことをまとめたのが本書である。』


【目次】
まえがき

第1章 キム・ジヨンが私たちにくれたもの
第2章 セウォル号以後文学とキャンドル革命
第3章 IMF危機という未曾有の体験
第4章 光州事件は生きている
第5章 維新の時代と『こびとが打ち上げた小さなボール』
第6章 「分断文学」の代表『広場』
第7章 朝鮮戦争は韓国文学の背骨である
第8章 「解放空間」を生きた文学者たち
終章 ある日本の小説を読み直しながら

あとがき
本書関連年表
本書で取り上げた文学作品
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

65
実に発見の書。日本は、朝鮮特需(つまりは朝鮮の人々の血)で潤い金満国家へひた走り経済大国に。一方朝鮮は南北共に血で血を洗う凄惨な同じ民族同士の闘いの歴史を綴った。文学も大方の日本人には想像も付かない重く苦しい歩みに。その成果の一つが今年度のノーベル文学賞か。我輩にとっては、本書は画期の書になりそうだ。数多くの素晴らしい韓国人(朝鮮人)作家を教えてもらった。お勧め。2024/11/27

おたま

53
現在韓国文学が非常にパワーをもっていると言われる。『82年生まれ、キム・ジヨン』を読んで以来、ほんの数冊ながら韓国文学を読んでみてもそれを感じる。現在の韓国社会の閉塞感や、社会状況に対する怒り、悲しみ、そして抵抗や前進も含めて熱をもって書かれている。この本は、そうした韓国文学が、どのような背景をもって生まれてきたのか、韓国の歴史を遡り対応させながら書かれている。日本からの独立から現在までの韓国文学の読書案内であるとともに、私たちが知ることの少ない韓国の歩んできた激しい歴史的転変の記録でもある。2023/06/02

ケイティ

40
とてもとても素晴らしかった。韓国文学を語る上で、中心になるのはやはり戦争、分断、迫害。声を上げて自分達を取り戻し続けざるを得なかった翻弄された歴史。文学はそうした市民の声を代弁していて、そこにずっと携わってきた翻訳者だからこその視点で解説された韓国は、想像以上に壮絶で、知るべき史実ばかりでした。ご自身の著書は初めてらしいですが、文章のリズムが良く、何より解説が体系的でとても明瞭。そこに、​翻訳では分からなかった斎藤さんの情熱が溢れ出ていて、ぐいぐい引っ張られました。ボリュームは普通なのに、壮大な大作感。2022/08/16

M H

37
待っていた。いつか斎藤真理子さんが書いてくれないかなと勝手に思っていた。「韓国文学を旅する60章」という良質なガイドもあるが、本書は「82年生まれ、キム・ジヨン」からセウォル号事件、IMF危機、光州事件、朝鮮戦争などと遡りながら、韓国社会におけるトピックを作品から読み解く教科書的な性格を持っている。韓国文学を読む上で引っかかりやすい(日本とは異なる)事柄を平易な言葉で解説、勉強になって自然と取り上げられた諸作も読みたくなる良書。斎藤さんやっぱりすごすぎる…2022/07/18

やいっち

33
実に発見の書。日本は、朝鮮特需(つまりは朝鮮の人々の血)で潤い金満国家へひた走り経済大国に。一方朝鮮は南北共に血で血を洗う凄惨な同じ民族同士の闘いの歴史を綴った。文学も大方の日本人には想像も付かない重く苦しい歩みに。その成果の一つが今年度のノーベル文学賞か。我輩にとっては、本書は画期の書になりそうだ。数多くの素晴らしい韓国人(朝鮮人)作家を教えてもらった。お勧め。2024/11/28

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