あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集

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あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集

  • ISBN:9784750517469

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内容説明

――わたしはどこにも属していないし、属すためのやりかたを買うお金もない。


カリブ海生まれのジーン・リースは、ヨーロッパでは居場所を見出せない、疎外された人であった。しかも女性である。

自身の波乱に富んだ人生を下敷きにした、モデル、老女、放浪者などの主人公たちは、困窮、飲酒、刑務所暮らし、戦争と数々の困難を生きる。


だが彼女らはけっして下を向かない。
慣習と怠惰と固定観念をあざ笑うように、したたかに生きる。


《いま新たな光を浴びる、反逆者リースの本邦初、珠玉の作品集》


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【目次】

■あの人たちが本を焼いた日……The Day They Burned the Books
■あいつらにはジャズって呼ばせておけ……Let Them Call It Jazz
■心霊信奉者……A Spiritualist
■マヌカン……Mannequin
■フランスの刑務所にて……From a French Prison
■母であることを学ぶ……Learning to Be a Mother
■シディ……The Sidi
■飢え……Hunger
■金色荘にて……At the Villa dOr
■ロータス……The Lotus
■ではまた九月に、ペトロネラ……Till September Petronella
■よそ者を探る……I Spy a Stranger
■堅固な家……A Soild House
■機械の外側で……Outside the Machine

■「ジーン・リース」へのピクニック……西崎憲


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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

旅するランナー

230
居場所のない主人公たち。彼女たちが発する容赦ない言葉。"結局わたしが持っていたのはあの歌だけだったから。わたしはほんとうにどこにも属していないし、属するためのやりかたを買うお金もない。どっちも好きじゃない"(「あいつらにはジャズって呼ばせておけ」)。一貫する、異分子に理解のない世間との闘いというテーマ。これは、時代がリースに追い付いたみたいだ。【護国寺読書会課題本】2022/08/16

ムッネニーク

99
60冊目『あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集』 (ジーン・リース 著、西崎憲 編、安藤しを他 訳、2022年7月、亜紀書房) 1950〜70年代にかけて活躍した晩成の女流作家、ジーン・リース。 短篇の内容はいずれも世間に疎外された女性を扱ったものである。 時代設定が分かりづらく、また掴みどころのない抽象的な作品も多いので、彼女の生涯を調べた上で読み進めていかないと理解が追いつかないかも知れない。 「わたしはほんとうにはどこにも属していないし、属すためのやりかたを買うお金もない。」 2022/08/29

コットン

85
精神的辺境の地にいるかのような私小説的要素の強い14の短編集。第37回護国寺読書会の課題本でなかったら購入しなかった本だが、疎外感がある中で折り合いをつけながら生活をしていく様は実存的ともいえる。ジャズ好きなので、この中の一編『あいつらにはジャズって呼ばせておけ』が気になった。解説でこのジャズの意味について書かれているように2つの意味になり肯定と否定のジャズがあるのは分かる気がする。2022/08/13

NAO

63
『サルガッソーの広い海』の作者ジーン・リースの短編集。ジーン・リースはカリブ海のイギリス領ドミニカ島に生まれた。16才のときイギリスに渡ってロンドンの女子校に入学したが、1年ほどで退学。波乱の多い生涯を送った。「あの人たちが本を焼いた日」「あいつらにはジャズって呼ばせておけ」は、強烈なインパクトの作品。こういった居場所のない人々を描いた作品が多い一方、実験的、先進的な話もあり、「心霊信奉者」や「堅固な家」は、ちょっと不思議な感じのする話。2022/08/12

帽子を編みます

61
【護国寺読書会課題図書】ジーン・リースは『サルガッソーの広い海』で知りました。彼女の短編集ということで手に取りましたが、読みやすいものではありませんでした。イメージはきらめきます、でもそれを読者に伝える工夫はなく、解釈の助けも乏しい。表題作、私の解釈では、この夫婦、『サルガッソー〜』の登場人物の原型を想起します。実は現地人の女性の資産目当てで、イギリス人の男が結婚契約をし、夫人は夫に服従させられていたのではと思うのです。夫の死による解放、服従の呪いは文字への憎悪となり、本を焼くことになるのではと思います。2022/08/31

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