内容説明
東京都心を異常低空飛行する米軍ヘリ。本土に復帰した後も、基地に悩まされる沖縄。日本各地でまかり通ってきたアメリカの「特権」。取材班が目にした状況とは――
2021年度、新聞労連ジャーナリズム大賞受賞の連載、書籍化!
日米地位協定は「在日米軍によるさまざまな被害の元凶」と言われながら一度も改定されたことがない。(略)ある記者は米軍関係者による事故のその後を追い、ある記者は炎天下の東京でカメラを構えて米軍機を待ち続けた。基地が集中する沖縄からも、深刻な被害が続く実相を伝えようと力を注いだ。
2022年2月、ロシアがウクライナに軍事侵攻し、多くの命が奪われる惨劇を世界は止められなかった。私たちは国際的な緊張が張りつめたこの時代を生きている。だからこそ、安全保障体制を構成する柱である地位協定のあり方に目を向け、議論を深めなければならないはずだ。
本書は、地位協定によって生まれている実 態と真実をあぶり出そうともがいた記者たちの記録である。 (本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大泉宗一郎
7
日米地位協定締結60年を機に毎日新聞で特集された連載を書籍化。在日米軍の法的扱いを取り決め、しばしば米兵の「特権」と称され、幾度となく改定が検討されながら現在に至る地位協定。その歪みとして沖縄での事例がよく取り上げられるが、協定は全国各地に適用され、法定高度を無視して新宿を旋回する米軍ヘリや、横須賀で性的暴行を犯した米兵が不起訴となり帰国する例など、日本全体の問題として提起するべく丹念な取材過程が本書で綴られる。米軍駐日の必要性を理解しつつ、主権国家として目に余る所作に物言うことも時には肝要ではないのか。2024/02/12
onepei
1
現実はあるけれども、違和感は持っていないといけない2022/08/25
kotori
0
本の内容もさることながら、新聞記者の取材の仕方がよくわかる本だった。記者たちの熱意が伝わってきたし、低空飛行の実態を追う場面はとても臨場感があった。 やっぱり「知る」ということが大事なんだなと思う。2023/01/14
TorysGirly
0
正直記事の裏側よりは記事のほうが面白いと個人的には思った。米軍の行動は、根本的に例外で済ませられる事があればすべてがそこに集約されていく理不尽を突き付けられた。日本政府も国民ではなく米軍の方を向いて仕事をしている。米国の様な基本的には何十年後かには公開される、公文書公開のシステムはやはり必須だとも。2022/10/02