内容説明
歴史の謎を追うジャーナリストである著者は官修『日清戦史』の草稿を読み解き、不都合な事実を隠蔽、改竄して陸軍が戦史を編纂していたことを見つけ出した。隠蔽は戦争の根幹部分に及び、編纂方針はその後の戦史でも踏襲され、戦争の実態は国民の目から遠ざけられた。『坂の上の雲』が描いた日露戦争の姿に多くの日本人が驚いたのもそのためであった。隠された事実とは何だったのか。埋もれていた歴史を掘り起こし一二〇余年の歳月を超え日清戦争の実像に迫り、日本人の歴史観のあり方を問いなおす。
目次
はじめに/第一章 「日清戦史決定草案」/「佐藤文庫」/四種類の草案/残っていたのは一三%/王宮への攻撃/「七月二三日戦争」の背景/時機は来れり/配置と任務/依頼の有無に関せず/追い込まれた大隊長/豊島沖海戦/成歓の戦い/第二章 追加部隊の派遣/宣戦布告/二つの「遂に」/時機を失いたり/釜山港での混乱/ソウルを目指す行軍/元山からの行軍/第三章 平壌を目指す/反抗するもの益々多き/李鴻章の脳裏/わずかな食糧/師団長の境遇/第四章 平壌の攻防/惨憺を極めた食糧事情/攻撃は九月一五日/平壌への総攻撃/混成第九旅団の苦戦/朔寧支隊の戦い/元山支隊に届いた「降伏」の書簡/蓄えられていた食糧/第五章 掲げられた白旗の謎/「清軍の情況」/戦う意思ない司令官/勇将・左宝貴の戦死/埋もれていた驚きの事実/任意撤退/清軍の敗因を分析/「原書存せず」/「未詳」や「不詳」/日清戦争のイメージ/部長会議の議事録/第六章 『日露戦史』の編纂/書いてはいけない一五項目/谷寿夫の『機密日露戦史』/旅順要塞の攻防/二〇三高地の登場/「全く虚偽である」/爾霊山の記憶/「通俗戦史」への批判/谷寿夫の視点/第七章 陸軍にとっての戦史/陸軍大学校の開校/「日本戦史」の編纂/メッケルの弟子東条英教の起用/決定草案は非公開が前提/川上操六の死と体制の変化/東条のその後/栄進を果たした大島健一/東条英教の著作/東条の視点/甲申政変と金玉均/正史から消されたもの/おわりに/参考文献
感想・レビュー
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パトラッシュ
kawa
K.H.
aeg55
kana0202
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