内容説明
青春時代にテレビのリアリティ番組に夢中になったメラニー。彼女は今や、サミーとキミーという兄妹の母となり、YouTubeで彼らの動画を公開し、何百万人もの視聴者を獲得している。サミーとキミーはキッズインフルエンサーとして有名になり、たくさんのスポンサーがついていた。しかしある日、かくれんぼの最中に六歳のキミーの姿が消えた。誘拐が疑われ脅迫状も届く。金目当てか? 成功者への嫉妬か? 怨恨か? 小児性愛者か? パリ司法警察局が捜査を開始し、メラニーと同世代の警察官で捜査記録官のクララも事件を精査しはじめる。クララもかつては、親に隠れてリアリティ番組を見ていた少女だった。ネット社会で翻弄される人たち……。そしてSNSネイティヴの子供たちの未来を知る人はまだいない……。SNS全盛の現代、子供たちを、そして人々を待ち受ける闇をミステリ的筆致で描いた恐ろしくも予言的な問題作。母親は言う。「我が家では、子供が王様なんです」と。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
40
無人島に一人で生活したり、独身男性に何人もの女性がアプローチしたり、私たちは時としてリアリティ番組に夢中になる。アメリカではリアリティショーで有名となったドナルド・トランプが大統領にまでなった。「意外な人の素顔/日常を見たい」という好奇心故だが、実はその素顔や日常は、編集の手が入る以上、作られている。また、大人は見られていることも意識しているし、日常を切り売りすることも納得ずくだが、大人の生活の一部として売られる幼い子供たちに、まだその認識はない。彼等の名前は不特定多数に知られ、日常は世界中に配信される。2022/10/03
TAK.I
22
親のエゴ、見栄でYouTubeやインスタに子供の動画をアップする。子供が親の玩具のようでいたたまれない。フォロワー数や再生数、いいねの数を誇るための道具。そんな中2人兄妹の妹が、近所の友達とのかくれんぼ中に何者かに誘拐された。もちろん悪いのは犯人で、両親の悲痛な思いは伝わってくるが、どこか根本的なところがずれた親。子供を使って莫大な富や名声を得る。果たして、動画投稿は単なる趣味と言えるのか。日本でも問題が表面化していないだけで、近いことは起きているのではないか。デジタル化した世の中に警鐘を鳴らしている。2022/10/10
スイ
17
誘拐事件とSNSを中心にした社会派ミステリと思っていたら、後半は近未来になるのに驚いた。 対になる2人をキャラクター化し過ぎている感じはしたが、社会問題とエンターテインメントの織り込み方が上手い。 今後もっと問題になるよねこれは…。2022/10/16
ちょこ
15
リアリティーショーを見て育った少女が育児ノイローゼを経て子供たちをYouTuberにしてキッズインフルエンサーにするものの誘拐事件に巻き込まれる。残り2/3で事件は解決され12年後に飛ぶがそこからがまたきつい。幼い頃から本人の意思に関わらずSNSに晒され続けることの罪深さよ。知らない人の目に常に晒されカメラで撮影され続けるストレスは半端ないだろうなあ。彼らのケアを周りの大人たちは考えているのだろうか。パリが舞台だがニューヨークや東京でも成立する物語だと思う。子供は親の持ち物ではない。2022/12/08
そうたそ
13
★★★☆☆ 図書館の新刊コーナーにあったものを偶然手に取り、何故か惹かれてしまいその勢いで読んでしまった。ある種、ジャケ借りのような。YouTuberとして我が子を動画に登場させ、何百人もの視聴者を持つ母のメラニー。だが、ある日娘のキミーが姿を消してしまう――。家族の姿をうつす動画は微笑ましいようで、何かモヤッとした違和感もある。そこを掘り起こしてくれるかのような作。SNS全盛の時代に子供の日常を不特定多数の目にさらすことの危険性。舞台が2031年に飛ぶ後半からが主題なのかもと思った。2022/12/20
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