内容説明
その日、神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子を含む九人が、人里離れた班目機関の元研究施設“魔眼の匣”を訪れた。その主であり、予言者として恐れられている老女は、来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。施設と外界を結ぶ唯一の橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。残り48時間、二人の予言に支配された匣のなかで、葉村と比留子は生き残って謎を解き明かせるか?! ミステリ界を席捲した『屍人荘の殺人』シリーズ第2弾。/解説=大山誠一郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
235
★★★★★★★☆☆☆特殊設定ミステリブームの火付け役となった『屍人荘の殺人』の続編となるシリーズ第2弾。謎の組織・班目機関を追って〝魔眼の匣〟を訪れた葉村と比留子は、その地で予言者の老婆と出会うが…。前作ほど奇抜ではないものの、予言により死者数と性別が定められた中での殺人劇という点では、今作も特殊設定ミステリといえる。犯人特定のきっかけが万に一つも起こり得ない偶然だったことと、ロジックを重視するあまり動機が破綻気味なのが惜しいが、伏線回収の鮮やかさは健在。卵割りをシャドーで練習する比留子さんが地味にツボ。2022/08/21
ま~くん
157
山中の奥深くに建つ不思議な箱型の建造物、魔眼の匣。そこには「サキミ」という何十年にも渡って未来を正確に予言する老女がいた。班目機関との関係を聞きつけた剣崎比留子と葉村譲を含む男女11人は元研究施設に閉じ込められパニックに陥る。そして、追い打ちをかけるようにサキミの予言が。「この中で4人死ぬ」。予知超能力は本物か、巧妙なトリックなのか、それとも真犯人が存在するのか。「屍人荘の殺人」の強烈なインパクトには少し及ばなかったがシリーズものとして第3弾以降も是非読んでみたい。2022/09/16
ネムコ
114
「屍人荘」シリーズ第二弾。今回は‘予言’。きっちりミステリでした。クローズドサークルにもいろいろあるんだなぁ。閉ざされた村、個性的なキャラ、そして連続殺人。何度もみたような風景ながら応援したくなる子もいて、ぐいぐいと引き込まれた。うう、内容に触れずに感想を書くのは難しい。最後まで楽しませてもらいました。さあ、次は兇人邸だ!2022/09/17
みこ
107
剣崎比留子シリーズ第二弾。実質最初の犯行が行われるのがページ的に後半に入ってからとかなりのスローペース。肥留子のキャラ人気を狙ってラノベっぽくなるなら本作でサヨナラかなと思っていたが、事件解決と思わせてからの大逆転に驚愕。しかもに二つの真相とも悔しいくらいにちゃんとヒントは書かれている。時間をかけてでも自力で真相にたどり着きたい人は解決編手前まで読んだところでもう一度頭から読み直すことをお勧めする。2022/09/29
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
101
(2022-73)前作では「クローズドサークル」と言う使い古された古典的な設定をまさかの方法で作った。シリーズ二作目も同じくクローズドサークル物。「あと二日のうちに男女二人づつが死ぬ」閉ざされた施設に暮らす老婆の予言。果たしてその通りに事件は起こるのか?クローズドサークルと予知能力。この組み合わせから生じた恐怖感と精神的な圧迫感。動機としては確かにあり得るかもしれない。「斑目機関」と言う機関の謎もあり続編が気になりますね。ただ残念なのは明智という魅力的なキャラを早々と前作で失くしてしまった事かな。★★★★2022/11/04