創元推理文庫<br> あの本は読まれているか

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創元推理文庫
あの本は読まれているか

  • ISBN:9784488270070

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内容説明

冷戦下のアメリカ。ロシア移民の娘であるイリーナは、CIAにタイピストとして雇われる。だが実際はスパイの才能を見こまれており、訓練を受けて、ある特殊作戦に抜擢された。その作戦の目的とは、反体制的だと見なされ、共産圏で禁書となっているボリス・パステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国民の手に渡し、言論統制や検閲で迫害をおこなっているソ連の現状を知らしめることだった。そう、文学の力で人々の意識を、そして世界を変えるのだ。一冊の小説を武器とし、危険な極秘任務に挑む女性たちを描く傑作長編!/解説=大矢博子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

61
『ドクトル・ジバゴ』出版にまつわる歴史ミステリ。1950年代の東(ソ連)と西(アメリカ)が交互に描かれ、東の主要人物はパステルナークと彼の愛人オリガ、西の語り手はCIAで働くタイピストたちだ。 東の場面で描かれているのは当局の厳しい監視オリガが体験した矯正収容所の過酷さやパステルナークの葛藤、西の場面で描かれているのは不当なまでの男女差別と行き場のない女性たち行き場を無くした女性たち。そういった淀んだ世界を、『ドクトル・ジバゴ』は密やかに渡り歩いていく。⇒2024/05/27

chiseiok

48
いやきつかった(^_^;)。デビュー作にして版権200万ドルのスパイ小説かつ恋愛小説とのこと、どんだけ凄いの?と胸躍らせて読み始めましたが、自分の期待とは違ったベクトルのお話し、も〜進まない…。活劇好きの自分ですがスタインハウアーやダニエル・シルヴァなんぞも好物なので、その辺の読み味を期待したのですが、ちょっと別物でした。基本的にはまごうかたなき恋愛小説で、そこにスパイスとしてエスピオナージ要素をまぶした仕上がり。なので、合う人にはどんぴしゃ傑作だと思うけれど、自分的には「あ、間違えちゃった…。」て感じ。2023/03/03

Shun

34
冷戦下のアメリカでCIAが実際に行った「ドクトル・ジバゴ作戦」をベースとした長編小説。その作戦の骨子は文学の力で言論統制されたソ連国民の心に灯をともし、体制を変え得る力を見出すというもの。ロシアの作家パステルナークが書いたその小説は、恋愛や自由といった西側諸国の思想に染まりソ連の民には相応しくないという理由で禁書とされた。この小説に一縷の望みを見出した米国は、スパイ作戦の要領で西側で書籍化したこの本を国民たちの手に密かに配布していく。東西緊張の中、銃を置き文学を武器に戦った人々の想いが世の中を変えた。2022/11/09

ひろみ

16
アメリカCIAとソ連のお話。とても面白く、人間模様もよく描かれていて、イリーナとサリーは鮮やかにイメージできました。各章のタイトルも面白い。「ドクトル・ジバゴ」という小説が軸だったので、本か映画を見たいと思います。  ただ、、状況が苦しくて急いで読んでしまう種類の本でした。苦しかったのは、どうして人が望まない国家運営が実現してしまうんだろうと、人間が作る社会というものにすごく悲しくなって、読み終わった今、鬱々としています。ソ連も、今の日本も。2025/04/02

緋莢

12
図書館本。<タイプライターは女のために作られたと言われている。リズミカルにキーを打つには女性らしい指使いが必要で、細い指がタイプに向いているのだと。車や爆弾やロケットは男のもので、タイプライターは女の道具なのだと。>亡命ロシア人の娘、イリーナ・ドロツドヴァは、CIAのタイピストとして雇われていた。諜報員の適性があると見込まれ、訓練後、とある作戦に抜擢される。 それは、共産圏で禁書となった『ドクトル・ジバゴ』という小説をソ連人に渡し、言論統制や検閲を行っている ソ連の現状を知らしめるというもので…(続く2024/09/14

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