介入するアメリカ - 理念国家の世界観

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介入するアメリカ - 理念国家の世界観

  • 著者名:中山俊宏
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 勁草書房(2022/08発売)
  • ポイント 28pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326351657

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内容説明

さまざまな地域に文字通り「介入する国家」、アメリカ。しかもアメリカは、人びとの意識のなかにも浸透しようとした国家であった。歴史家ケナンのいう「自らの姿に似せて他国を作り変えようとする衝動」に基づく介入だ。本書は、コソヴォ外交からオバマ外交までを分析し、その「衝動」の輪郭を浮かび上がらせるものである。

目次

はじめに

序章 二一世紀もアメリカの世紀か
 はじめに
 1 アメリカにとっての二〇世紀
 2 超大国アメリカと単極秩序
 3 ポスト九・一一パラダイムを超えて
 むすび──「アメリカ後の世界」とオバマ政権の誕生

第I部 介入と孤立のはざまで

第1章 アメリカの理念外交とコソヴォ戦争――人道的介入をめぐるアメリカの言説
 はじめに
 1 「コソヴォ戦争」の意味
 2 コソヴォ危機への介入
 3 「エスニック・クレンジング」という言説
 むすび

第2章 リベラル・ホークとは何か――人道的な武力介入論
 はじめに
 1 道徳的言説の復権
 2 価値の戦争
 3 新しい介入論とアメリカの役割
 4 性急な決断
 むすび

第3章 アメリカにおける国連不信と保守派の言説
 はじめに
 1 国連の設立──封印された国連不信
 2 理念国家アメリカの例外性──国連とアメリカニズム
 3 保守主義の台頭──国連不信の国内的要因
 むすび

第II部 ブッシュ外交の波紋

第4章 アメリカの覇権的正義と米欧対立――「力」への依存の衝撃
 はじめに
 1 米欧間の亀裂の深度
 2 「新世界」からのメッセージ──ケーガン論文の衝撃
 3 「正義なき秩序」からの脱却
 むすび

第5章 イラク戦争の脱争点化とブッシュ政権の言説戦略――増派作戦の言説効果の検証
 はじめに
 1 イラク戦争への不信感と二〇〇六年中間選挙
 2 第一一〇議会とイラクへの増派
 3 イラク戦争の「ペトレイアス化」
 4 「イラク・シンドローム」と厭戦気分
 むすび

第6章 リベラルな帝国是認論――イグナティエフと対イラク武力行使をめぐる論争
 はじめに
 1 アメリカという帝国の軽さ
 2 介入する責務
 3 奇妙な連合
 4 リベラルな帝国論者の挫折
 むすび

第7章 中国を見るアメリカの視線――九・一一テロ攻撃後の対中イメージ
 はじめに
 1 九・一一テロ攻撃後の国際情勢認識と中国
 2 対中イメージの変遷
 3 冷戦後の対中イメージ──天安門事件の余韻と中国の台頭
 むすび

第III部 オバマ外交の射程

第8章 「アメリカ後の世界」におけるアメリカ外交――オバマ外交の世界認識
 はじめに
 1 九・一一 テロ攻撃の衝撃
 2 オバマ外交とブッシュ・ドクトリン2・0
 3 新しい関与の時代
 4 世界観外交の行方
 むすび

第9章 「台頭する中国」をアメリカはどのように対象化しているか――「衰退する大国」の対中イメージ
 はじめに
 1 アメリカ人の自己イメージ
 2 新たな「対中観」の形成
 3 対中世論の新しいうねりと対中政策
 むすび──米中関係と日本

第10章 変わる世界とアメリカの東アジア外交――オバマ政権の対北朝鮮政策への影響
 はじめに
 1 「アメリカ後の世界」におけるアメリカの東アジア外交
 2 対北朝鮮政策における継続と変化
 むすび

終章 「アメリカの衰退」と日米関係――同盟を漂流させないために
 はじめに
 1 日米関係を変容させる諸要因
 2 アメリカの自己意識と日米関係
 3 中国をどのように対象化するか
 むすび──密教と顕教の分断を日本は乗り越えられるか


初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あんころもち

11
最近の国際ニュースを考える上で極めて有用な著である。外交政策の理念の分析が主である。(残念ながら著者の言う通り現実的対応が主の東アジア外交はあまりこの本の良さが活きていないが)コソヴォ以降のアメリカ現代史の知識を前提とするが、時に歴史を遡りながら理念のバックボーンを示してくれるので勉強になる。特に民主党タカ派(リベラルホーク)についての記述が多いが、参考となる本がなかなか見つからないので現代アメリカを考察するのに非常に役に立つ。また、細かく文献がついているので、ここからどんどん掘り進められる。 2015/10/03

coolflat

2
ここ20年のアメリカの外交を分析している。冷戦以後、介入する国家アメリカがいかに変容していくかを示している。クリントン政権時のコソボ紛争では純粋で人道的な介入が動機だった。だが次のブッシュ政権時のイラク戦争では「大中東圏」の民主化という途方もない構想が動機だった。単独的で傲慢な姿勢が国連の支持を得られず、アメリカは孤立した。そこで単独介入主義からケースバイケースでの多国間による連携、つまり同盟プラスという発想への変容がなされる。同時に衰退するアメリカが勃興する中国に対して国益を最大化させる方策でもあった。2013/12/08

Dヨッシー

1
アメリカの介入をめぐる動きなどの論文集。後半は内向きになるアメリカを示唆するような論文だが、面白いのは前半のコソボやリベラルホークの部分。イグナティエフやオルブライトのように道徳心を基に介入政策を進めていったものの、実際にアメリカは介入後までの責務を果たせずに今にまで至っている。そのことを考察している部分がこの本の醍醐味なのではないかと思う。今後、アメリカが良きサマリア人を基に再び国際社会に関与していくのかにも注目。2017/12/19

Tetsuya Noguchi

1
2013年に出版された本であるが、現在のアメリカを考える上で、今でも非常に大きな価値がある。 ブッシュの外交、オバマの外交を中心に著者が発表してきたレポートを集めたもの。 アメリカの保守の歴史についてや、国際関係を見るときのリベラリズム VS リアリズム、民主党 VS 共和党の党派間対立、台頭する中国に向きあう当時のアメリカ人の認識などなど、非常に示唆的であった。 このような文脈の中から、今日のトランプ的なものが誕生する萌芽がどうやって生まれたのか、それを考えながら読む醍醐味がある書。2020/11/20

1
1990年代以降のアメリカ外交がどのように語られてきたかを通じて、アメリカ外交の変遷を位置付けようとしている。個別の章は中山先生が他の媒体で書かれたものを加筆修正して掲載したもの。 こう見てみると2016年以降の外交はかなりの程度オバマまでで作られていたのかもしれないという気がしてくる。2020/07/20

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