中公新書<br> 原敬 「平民宰相」の虚像と実像

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中公新書
原敬 「平民宰相」の虚像と実像

  • 著者名:清水唯一朗【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 中央公論新社(2022/07発売)
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  • ISBN:9784121026606

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内容説明

初の「平民」首相として、本格的政党内閣を率いた原敬。戊辰戦争で敗れた盛岡藩出身の原は苦学を重ね、新聞記者を経て外務省入省、次官まで栄進する。その後、伊藤博文の政友会に参加、政治家の道を歩む。大正政変、米騒動など民意高揚の中、閣僚を経て党の看板として藩閥と時に敵対、時に妥協し改革を主導。首相就任後、未来を見据えた改革途上で凶刃に倒れた。独裁的、権威的と評されるリアリスト原の軌跡とその真意を描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

103
原敬は明治維新に直接参加していない近代日本最初の指導者であり、官僚や実業の世界で実務を学び上昇していく立志伝を体現していた。戦いではなく話し合いで物事を解決する現代的な政治技術に通じていた点で平民宰相の呼称はふさわしいが、同時に維新の元勲や藩閥勢力が築いた明治憲法下の政治体制は強力な指導者なくしては分裂してしまう現実を見抜いていた。結果、議会の多数を制し首相になりながら強権的、独裁的な手法を取らざるを得ない場合は遠慮なく行使した。リアリストとしては当然だが、理想を捨てたとみなされたことに原の悲劇があった。2021/11/01

skunk_c

78
一般に評伝の著者は、その対象に対する思い入れが強く、その点を割り引く必要があるのだが、それをした上で極めて良質な評伝と思う。著者の意識した当時のメディアがどう評価したかという点と、原本人の思いのずれを丁寧に論じているのが良い。特に立憲政友会のトップを担う頃から、懐が深くなったという柔軟性が魅力であり、それこそメディアの評価に流された凶刃が惜しまれる。本書の中にある「世評に頓着せず、どんな質問にも応答し議論を沸かせ、さすがは平民的と評判を呼んだ」の当時の評を、是非とも今の政権担当者に噛みしめてもらいたい。2021/11/03

kawa

40
明治維新から50年、爵位を持たず藩閥出身でない原敬は、当時としては高齢の62歳で初の本格的政党内閣を立ち上げ「平民宰相」と称された。本書は、意に染まない形で学校を放れ、生活のための新聞記者、人に恵まれての外交官、そして、伊藤博文による立憲政友会の創設に参画し、長く伊藤と政党を支え続けた原を通して明治・大正の政治史を振り返る。サブ・タイトルの「虚像と実像」が、小説のように鮮やかに蘇る趣きでないところはやや辛いが、直前読了の犬養毅の小説「狼の義」と合わせて、この時代の動きにより興味が増す。2021/11/03

姉勤

38
かの事件より。維新の功労者や旧公家、大名、幕臣でない、爵位のない初の総理大臣。大正という新時代のリーダーとして緩やかな、強かな改革を実行した。読後の感想は調停者というイメージ。順風満帆とは言えない若い頃のエピソード、記者や実業者を経ての政界へ。官僚や閣僚時代の政策参加や、根回しやネゴ。米騒動や第一次大戦、ロシア革命という時代に軍縮と普通選挙への道筋、皇太子(昭和天皇)の外交デビューなど首相時代には新時代の政策を実施。しかし道半ばにして凶刃に斃れる。2022/07/30

みこ

33
教科書では「初の本格政党内閣を率いた原敬」とフレーズごと丸暗記させられた人物であった。しかし、その意味するところは藩閥の影響を排し、当時諸外国から軍事国家として見られていた日本において立憲政治を導いた人物であった。決して清廉潔癖な理想主義者ではない。政党運営や政権奪取のためには策も弄するし、むしろ超現実主義者である。だが、それは同時に己の信念を貫くが故の姿ともいえる。2021/11/21

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