内容説明
命の寿命を色で感じ取ってしまう女子高生の藤木六華はある夜、春風歩と名乗る青年と出会う。
夜の散歩が趣味だという彼は誰もが持つはずの命の色を持たず、そんな歩の不思議な雰囲気に六華は興味を持ち惹かれていく。
だがある日、町で見かけた彼はいつもと様子が違った。六華のことを覚えておらず、青色の命を纏い自分を“翔”だと告げ――。
やがて明らかになる、歩の切なく残酷な秘密。それを知ったうえで、二人は限りある時間で奇跡のような恋をする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
38
命の寿命を色で感じ取ってしまう女子高生・藤木六華。ある夜、春風歩と名乗る青年と出会い、二人は限りある時間で奇跡のような恋をする青春小説。夜の散歩が趣味だという歩は誰もが持つはずの命の色を持たず、そんな彼の不思議な雰囲気に興味を持ち惹かれていく六華。歩とはなぜ夜にしか出会えないのか、昼間に町で彼を見かけたことから明らかになる意外な真実があって、一見完璧に思えた六華の姉・若葉の苦悩も絡めながら、限りある時間の中で精一杯向き合うその想いはどこまでも真摯で、最後までらしくあろうとした二人がとても鮮烈な物語でした。2022/07/24
リク@ぼっち党員
11
葉月文さんの紡ぐ物語は、やはりどこまでも透き通っている。人の命の色が見える少女と、無色透明な色を持つ少年の恋物語。死というテーマを扱っているけれど、闇夜にきらめく星を見上げるような眩しさがあった。そしてあとがきの言葉がとても染み入った。絶望に苛まれた時、そっと寄り添ってくれる人って本当に大切でかけがえのないもの。ひとりひとりでは心折れることでも"あわせ"れば乗り越えていける。そんな繋がりを大切に生きていきたいと思えた。2022/07/23
日坂愛衣
10
相変わらずの葉月文、ある意味初志貫徹なストーリー。2022/07/23
栗山いなり
9
命の寿命を色で感じ取ってしまう少女・藤木六華が夜の街で出会った少年・春風歩と出会い恋をしていく青春恋愛小説。オーソドックスな青春恋愛劇だったけど所々に電撃文庫っぽい感じが見てとれる作品だった2022/08/16
とってぃー
8
美しく儚い透き通った物語がここに… 命の色が見える少女と、無色透明な色を持つ少年の恋愛物語。読後は感傷に浸ってしまいますが、人を愛することの幸せや幸せを分かち合うことの大切さをしみじみと感じました!2024/05/16