内容説明
室町時代から続く名家・榊原家。当主の道山が亡くなり、家の古い習わしから孫の俊彦に多額の遺産が相続されるはずだった。しかし俊彦はその権利を放棄。なんとか夫を翻意させようとする妻の景子だったが首尾よくいかず、そればかりか謀略の果てに義姉を死なせてしまう。ところが放置した死体が忽然と消えてしまい――。死体を隠したXは誰か。真相は闇に葬られてしまうのか。それとも……。遺産相続をめぐる本格ミステリ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
75
閻魔堂沙羅は出ない木元さんの初長編ノンシリーズ。遺産相続絡みの諍いで死なせてしまった義姉の遺体が消えた。しかし、遺体を隠した犯人からの手紙がその犯人、長男の妻に届き・・・。最早ない栄光を支えにするしかないダメダメ一族とそんな一族の束縛を嫌う人間達のブラックでユニークなサスペンスだが事件の謎より(遺体の場所あまり引っ張るほどじゃなかったし)木元さんの人間ドラマ、旧家編及び妻の心境、そして動機で読ませるタイプ。ノンシリーズなのはわかってるけどついつい沙羅が来てアドバイスくれないか。なんてこと考えるくらい。2022/07/22
よっち
32
遺産目当てで室町時代から続く名家・榊原家当主の孫・俊彦に嫁いだ妻の景子。しかし当主の死による遺産相続で俊彦が権利を放棄、その思惑が狂ってゆく遺産相続ミステリ。何とか夫を翻意させようとするも首尾よくいかず、そればかりか事故で義姉を死なせてしまう景子。死体を隠して景子を脅迫したXは誰か。様々な思惑が絡み合う中での騒動劇の中、頭脳明晰だった景子は浮世離れしていた夫のダメ男っぷりを見誤ったことが敗因でしたけど(苦笑)、関係者たちの動きを見極めて裏で糸を操り、見事目的を達成してみせた思わぬ黒幕の暗躍は見事でしたね。2022/08/23
よっしー
31
タイトルが気になり、手に取りました。最初に相関図はあったものの、登場人物が全然把握できなくて…何度も戻りながら読み進めました。遺産を優位に相続するために画策する人もいれば、遺産放棄を宣言する人もいて…。ただ、相続放棄を宣言した人の生活を見ると、お金の価値を分かっていないと言いたくなるだけに、モヤモヤ。ただ、遺産を巡ってアレコレ画策している人達の背後でその上をいく策略を巡らせていた人物に驚きでした。なんだかと思う展開続きではありましたが、読了後の感想としては面白い、そんな不思議な作品でした。2024/01/08
米太郎
27
・最初は取っ付きにくいし、合わないかと思ったがみんなのお金に対する執着が凄い(約1人除く。)約1人は、私が妻でも離婚考えるわ。って感じだった。木元さんは追いたい作家になりました2023/12/24
一華
24
貧困家庭で育った景子が、運よく結婚できたのは室町時代から続く名家榊原家の孫の俊彦。当主が亡くなり、多額の遺産を手にするはずだったのに、なんとあろうことか俊彦が遺産放棄を宣言。遺産相続させるために画策するなか、義姉を死なせてしまうも遺体が消えて…まぁとにかく俊彦のキャラが強烈すぎて、ちょっぴり景子に同情しちゃう〜犯人はXのまま未解決でもよかったかも…2024/03/18