岩波ジュニア新書<br> 漢字ハカセ,研究者になる

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岩波ジュニア新書
漢字ハカセ,研究者になる

  • 著者名:笹原宏之
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2022/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005009503

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内容説明

「漢字博士」として,辞書の編さんや国の漢字政策などに関わってきた著者.様々な当て字を得意になって書いていた小学校時代.秋桜をコスモスと読むのが許せなかった中学時代.進路に悩んだ高校時代.地名漢字を調べに出かけた現地調査など,漢字にまつわるエピソードを交えながら,漢字の魅力や研究者への道のりを語ります

目次

はじめに
1 蛸と鮹 マンガのタコと辞典のタコ
人生最初に書いた漢字が、「誤字」!
漢字が苦手な小学生
人と違うところに興味が向かう
「笹」は国字
漢和辞典との出会い
漢字博士として
漢字博士の日々
〔コラム〕漢字のはじまりと古代の漢字
〔コラム〕当用漢字と常用漢字 なぜ漢字は勝手に使えないのか?
〔コラム〕国字とは?
〔コラム〕漢和辞典を使ってみよう
2 秋桜と書いてコスモス こんな当て字は許せない
漢字の「観察」
数々の「当て字」
「当て字」集めに熱中
辞典の世界を飛び出して
授業中の漢字
地理歴史クラブでもやっぱり漢字
許せなかった、山口百恵の「秋桜」
当て字の、気づき
〔コラム〕おもしろい当て字とその由来
3 〓、 、靏 全一三巻『大漢和辞典』にもない漢字
『大漢和辞典』がほしい!
『大漢和辞典』を探せ
ついに購入!
『大漢和辞典』に対する「なぜ?」
白い手袋の少年
桃源郷発見
広がる興味と、もどかしさ
検定試験よりも……
漢字と経験
当て字にがっかり
書店や図書館に足しげく通う
4 脣から唇、膚から肌へ 当用漢字から常用漢字へ
始まった高校生活
やっと勉強に集中
まさかのビリギャル超え?
異体字に関心
国字に注目
国語学(日本語学)に出会う
古代中国だけでは
『小学雑記稿』を書く
「常用漢字表」の公布
学校の漢字
漢字を数える
何でも習ってみよう
将来についての悩み
家庭の激変
受験勉強
5 早慶は〓〓? 大学生活で出会った漢字
夢の大学一年生
構内と図書館で
習い事と図書館通い
サークル活動で学んだこと
大学二年生に
今につながる外国語の勉強
中国の漢字
国語学の洗礼
〔コラム〕めずらしい姓名
6 〓 俗字や国字は、何かしっくりくる
大学三年生に
中心を外す
大学四年、中文から日文へ
ひたすら資料を読む日々
不安とたたかった大学院への進学
〔コラム〕柳田国男の周圏論
7 腺、 の追跡 個人文字の広がり
初めてのワープロ
昭和の終わり
修士論文を提出
学会デビュー
学会誌への投稿
国字「腺」「 」の追跡
視野の広げ方
8 妛、腥 幽霊文字、人名用漢字と向き合う
タイミングの大切さ
女子大学に就職
女子大学での日々
野外で地名を調べる
「KYON2」という表記
パソコン導入とデータ消滅の失敗
国立国語研究所への転職
研究所での仕事
JIS漢字(経済産業省の所管)の調査
幽霊文字の正体を暴く
JISの記号
研究所での意外な仕事
テレビと大学
子の名に付けられる漢字
意味よりイメージ?
〔コラム〕姓名判断
9 粁、蛯 博士論文と北海道の蛯天丼
母校に戻る
教授としての日々
「左馬」の記憶
ついに博士論文の提出へ
博士になってみて
国字「蛯」を調べ、時代差、地域差、集団差を見出す
最初の出版は新書
博士論文の出版
初めての受賞
10 麺、混む 時代とともに「常用漢字」も変わる
文字政策の力と怖さ
道が「こむ」?
当て字
テレビ・ラジオ番組
変化を続ける仕事
人の幸せのために
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

56
64画の漢字を知った中学の図書館、『大漢和』に初めて触れた高校の図書館が懐かしい。とくに国字には関心があったから、『国字の字典』『日本人の作った漢字』も専門外で自分の仕事にも無関係なのに読んだ私。ついに笹原先生の『国字の位相と展開』に出会ったときは、これぞ運命だと、あの分厚い本を買いました。以来すっかり笹原先生の著書が気に入って読みあさっています。漢字専門の研究者は、意外にもごく少数の存在らしいですが、熱の入った半自伝的紹介に圧倒されました。気象台の国字は、単位の本にもあり、学際的研究の大切がわかります。2023/01/05

井月 奎(いづき けい)

43
物知りの子供、いわゆる「ハカセ」が「博士」になります。漢字好きの少年時代、それがこじれ……もとい高じて専門に学ぶことになる大学時代と、時間を過ぎるごとに病膏肓に入りすごいことになっていきます。いやあ、変わった人と言えば言えるのですが、あこがれます。自分の好きなことを見つけて一生をかけて学び、さらには教えていく。すてきだなあ。漢字に未来の可能性を見出しているのもとても素敵に思います。2022/11/26

さとうしん

10
国字などの研究で知られる笹原宏之氏の自伝。「漢字博士」だった少年時代から研究者に脱皮していく過程を、氏の主要な研究成果を交えつつ振り返る。マニアが研究者になっていく様子、そして研究者の歩むキャリアの一典型がうかがえる。2022/03/29

さとみなおと

3
今年読んだ本の中でノンフィクションでは一番おもしろい。読み始めてすぐにリーディングゾーンに没入し、数時間であっという間に読み終わった。好きなことを突き詰めていけば人生は楽しくなる。人生を楽しむことを諦めなくていいんだな。後書きでの著者から中高生へのメッセージに感動したので引用。「対象は何でもかまいません。何時間でも向き合えるものがあれば、それはきっと自分に合っています。過去のことまでよく研究して、現在、そして未来へと自分らしくつなげていく心ある若者が出てくることをずっと待っています。」2024/02/13

erie

2
研究者になったことが肯定的に書かれていることが示されるタイトルであり、子供時代の漢字オタクエピソードから、ちょっと不穏な中学時代に差し掛かっても、冒険譚のように安心して読める。総合的にはこの方には、いろんなものが味方したように思う。2023/05/21

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