ちくま新書<br> 認知症パンデミック

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ちくま新書
認知症パンデミック

  • 著者名:飯塚友道【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074928

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内容説明

コロナ禍による「ステイホーム」が認知症パンデミックを引き起こしている。コロナと、それに伴う過剰な反応による「自発的ロックダウン」が認知症を引き起こしているのだ。対策としては生活習慣の改善を図り、また早期発見を進めるしかない。薬の服用と運動習慣改善の併用を提案するとともに、認知症の本質に迫り、脳の理想的なあり方を考える。早期発見のためのAIによる顔写真・脳のスキャン画像による画像診断などの最新研究も紹介。認知症の蔓延を克服する道を提示する。

目次

はじめに
第1章 ポストコロナは認知症パンデミック
1 2025年に認知症患者700万人──衝撃的予測と「新オレンジプラン」
日本の高齢化率は世界一
認知症発症率55%の衝撃と中国・韓国・米国の状況
2 認知症は生活の自立を障害
認知症特有の記憶障害
認知機能の低下による深刻な生活障害・BPSD
3 地域医療介護連携による認知症予防対策は機能していた
「オレンジプラン」とは
「新オレンジプラン」とは
認知症患者とその家族の視点の重視
地域ぐるみでの支援の強化
4 地域医療介護連携の構築──東京都北多摩北部地域の場合
「北多摩認知症を考える会」の活動
地域連携に向けた活発な動き
5 コロナ禍で崩れたプラン
感染への恐怖から絶たれた「つながり」
コロナ禍以前・以後の受診者数の変化
6 全国に及ぶコロナ禍の影響
コロナ禍による全国的なシステムの機能不全
介護の現場における大きな変化と厳しい現状
第2章 コロナ禍で切断された緊密な「つながり」
1 ソーシャル・ディスタンスvs心のディスタンス──距離と連帯の二律背反
「ソーシャル・ディスタンス」がもたらす孤独と不安
「心のディスタンス」は広げない
フレイルの危険性
コロナ禍における認知症患者とその家族──Aさんの場合
Bさんの場合
Cさんの場合
Dさんの場合
介護に第三者が介入することの重要性
感染予防のための正しい知識
2 80‐50問題はさらに深刻化している
子どもの自立を妨げるコロナ禍の不況
Eさんの場合
Fさんの場合
3 医療・介護連携への影響──緊密な連携は「3密」で醸成された
困難事例を克服するために
「心のディスタンス」を縮めるためのオンラインの活用
第3章 「ステイホーム」が認知症を増やす
1 過剰な反応による「自発的ロックダウン」
日本人の感染に対する強い恐怖
デイサービスに対する消極的な姿勢
2 海外のロックダウン報告から
南米3カ国・スペイン・イタリアで起きたこと
フランス・中国で起きたこと
コロナ禍で浮き彫りとなる国民性の違い
3 社会的な不活発による認知機能の低下と生活障害の加速化
コロナ禍による行動の変化と不安の増加
脳の血流に現れる変化
海外の2つの研究成果
4 隔絶された環境では脳が萎縮する
極地の長期滞在が及ぼす心身への影響
社会的孤立による脳の機能低下
5 対策は「つながり」の修復から
コロナ禍の認知症予防対策における4つの主要テーマ
感染予防と症状の進行防止のはざまで
第4章 脳への直接的影響
1 急性期の脳障害
新型コロナウイルス感染と神経症状
神経症状のメカニズム
いかにして脳に感染するのか
知られざる脳感染の恐怖
2 脳の霧──長期にわたる後遺症
高確率で起きる記憶障害と認知機能障害
感染後の治療形態による違い
感染が脳に及ぼす深刻な影響
3 アルツハイマー病との奇妙な関係
細胞のレベルで起きていること
遺伝子発現パターンにおける重複
OASI遺伝子と新型コロナウイルスとの関係
バイオマーカーから見た共通点
今後の研究成果への期待
第5章 認知症の本質とは何か?
1 人類がもつ高度の知能と脳の脆弱性
人類の脳の拡張とシワの形成
大脳皮質構築のプロセス
ヒト特有の脳を拡大させる遺伝子
βアミロイドの2つの側面
ヒトの脳の血流量の著しい増加
2 社会性が脳を大きくする
ダンバーの「社会脳仮説」
集団における社交の重要性
コミュニティとソーシャル・ネットワーク
3 最も新しく人間らしい部位から障害されるアルツハイマー病
アルツハイマー病の診断とメカニズム
脆弱な部位と好気性解糖の類似性
4 認知症は脳のエネルギー不全
認知症に先行する糖代謝の異常
インスリン抵抗性の脳容積への影響
特徴的な糖代謝低下のパターン
5 老化を感じさせないSuper Agerの存在
人とのよい付き合いが脳に及ぼす影響
多趣味であることの重要性
生きがいをもつこと
第6章 役に立つ早期診断
1 予防も治療も生活改善から
早期発見により進行を先延ばしに
「脳を守るための10カ条」
脳に栄養を与えて健康に
「呆けないための10カ条」も健在
2 運動習慣は海馬を大きくする
アルツハイマー病と海馬の神経細胞との関係
認知機能の低下を防ぐ運動の効果
身体活動の重要性
3 認知症治療薬は効く薬ではなく効かせる薬
認知症治療薬の処方と生活指導
医師と患者・家族とのコミュニケーションの重要性
第7章 AI時代の認知症対策
1 AIとどう向き合うか
AIは優秀で勤勉な「子ども」?
AIにできること・できないこと
2 AIによる脳画像や顔写真からの早期診断
画像識別能力の活用
さらに簡便な検査の実用化に向けて
3 脳とAIをつなげる
医療現場でのAIの活用
認知リハビリテーションと身体活動・社会活動
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ようはん

16
新型コロナウィルス蔓延によるステイホームの影響で高齢者の認知症は増加しており、さらにコロナ感染の後遺症による脳へのダメージも認知症リスクが高くなるという問題。ポストコロナの時代は超高齢化社会と並走する事を考えれば認知症に関する知識と理解は当事者となる高齢者はもとよりポスト高齢者となる世代も必要になると感じる。 2022/08/30

takao

2
ふむ2022/12/23

garyou

1
「認知症を防ぐには「三密」が必要、だから新型コロナウイルス感染対策はやめましょう」という類の本かと思ったらそんなに単純な内容ではなかった。三密を避けることが認知症対策の妨げになるということはくどいほど説かれている一方、新型コロナウイルスに感染したあとの後遺症で認知症のような症状が出ることもあるということも書かれている。どうすればいいんでしょうね。ひとまずできるのは歩くことかなあ。2023/01/05

ベータケ(betake)

0
図書館2024/01/12

豆苗🌱

0
今まで読んできた認知症関連の本とは違い、認知症と社会、暮らしに目を向けられていた。内容からもよく分かる通り、認知症は家族内だけで解決できるようなものではなく社会全体で支えていく必要があるようになってきてると感じる。凄く身近で、大きすぎる問題だ、、、2023/03/15

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